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「夏も近づく八十八夜〜野にも山にも若葉が茂る♪」という有名な歌があります。1912年に小学唱歌として発表された、茶摘みの光景をうたった歌です。青々と広がる茶畑の景色は、昔から初夏の風物詩だったのですね。
今回は、海外の評価も高まっている「日本のお茶文化」をもっと楽しむために、この時期ならではの「新茶」についてご紹介したいと思います。
八十八夜とは、立春から数えて88日目にあたる日(2023年は5月2日)のこと。歌詞にもあるようにちょうどこの頃、「新茶」の摘みとりが行われます。新茶はその年の最初に生育した新芽でつくるお茶で、若葉らしいさわやかなすがすがしい香りが特徴です。
「初物」はどんなものでも喜ばれますが、新茶もしかり。お茶の葉は1年に3〜5回の収穫が可能といわれ、なかでも最初に収穫される「新茶(一番茶)」は二番茶以降の葉っぱよりカテキンやカフェイン(苦味・渋味成分)が少なくテアニン(甘味成分)が豊富なので、大変重宝がられるのです。
新茶は年に1回しかとれないうえ、収穫方法も贅沢。というのも、お茶の木の枝は先端に「芯」と呼ばれる、まだ開いていない芽の状態の葉っぱがあります。芯とその下の2枚の葉を「一芯二葉」といい、新茶は一般的にこの一芯二葉を摘んでつくられるのです。
この部分はいわば生まれたて。フレッシュでやわらかいだけでなく、紫外線をあまり浴びていないため渋味が生成されず、甘味が強くなるのも特徴です。
わが家は新茶の季節になると、よく静岡県の茶畑に家族で茶摘みに行きます。「一芯二葉」のことは毎回しっかりと教えてもらえるので、忠実に守ってやわらかい茶葉を摘んでいます。
ちなみに、こちらで摘んだ茶葉は、天日に干して揉捻(両手で揉む作業)をし、茶色になるまでさらに干して、自家製烏龍茶に仕上げることができます。
さて、新茶のことがわかったら、おいしく飲んでみましょう!
茶摘みの時期は地域によっても異なり、たとえば「日本一早い新茶の産地」として知られる鹿児島県種子島では3月下旬から収穫が始まっていて、4月上旬には茶葉として出まわることが多いよう。静岡などはもう少し後になりますが、4月下旬ぐらいから5〜6月頃に店頭やネットショップで見かけます。
ひとくちに「新茶」といっても、品種によって特徴も異なります。お米に「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」などの品種があるように、お茶にも種類があるのです。日本の緑茶の多くは「やぶきた」ですが、最近は「ゆたかみどり」「さえみどり」「つゆひかり」などの希少種も人気があります。
一般的な緑茶(つまり、やぶきた種)は、淹れたときの色が「緑」というより「黄色」っぽいですよね? 「つゆひかり」は本当にきれいなグリーン。甘味があってさわやかで、とても贅沢な気持ちになれます。
下の写真が「つゆひかり」。上から二番目の写真は「やぶきた」です。色の違いがよくおわかりいただけると思います。
どの品種もそれぞれにおいしいので、いくつか買って飲み比べるのも楽しそうですね。
お茶をおいしく淹れるコツは、「茶葉の量」と「温度」が決め手です。茶葉の量はパッケージにも記されていると思いますが、急須1回分で茶さじに2杯、ティースプーンなら3杯ほどが目安。お好みで調整してみましょう。
温度は、熱湯で淹れると苦味や渋味のカテキン、カフェインなどが際立つので、70〜80度程度がおすすめです。やかんから別の容器に一度注ぐと温度は約10度下がるので、2〜3回移し替えて湯冷ましをすれば、ちょうどいい温度になるでしょう。ただ、「食後に口をきりっとさわやかにさせたいからカテキン豊富なのがいい」というときは、熱いお湯で淹れるのもありです。お好みでどうぞ。
適温になったお湯を急須に静かに注ぎ入れたら、あとはそのまま動かさず、しばらく放置。新茶は茶葉がやわらかいので、50秒ほど待てばOKです。湯飲みに数回にわけて均等に注ぎいれ、最後の一滴まで注ぎきること。二煎目以降はすでに茶葉が開いているので、お湯を注いだらすぐに飲み頃です。三煎目くらいまではおいしくいただけるでしょう。
飲み終わった茶殻はお醤油、塩昆布、味付け海苔などお好きなものと和えて、食べてみてください。茶葉にも栄養がたくさん残っていますし、新茶なら茶殻もやわらかくておいしいのです。
ペットボトルのお茶は便利ですが、やはり茶葉から自分で淹れるお茶は格別。やってみるとさほど面倒なわけでもないですし、お子さんと一緒においしいお茶を淹れてみてはいかがでしょうか。温度や品種によって味わいも変わりますし、好みのお茶を探すのも一興です。新茶の季節を思う存分に楽しみましょう!
2023.04.20 15:16 | |
2023.04.20 16:16 | |
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