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今年も気がつけば師走も半ば。大掃除などの片付けやクリスマスの準備に慌ただしい時期ではありますが、今年は1つ新しいことにチャレンジしてみませんか?
それが年越しそばのための「かえし」づくり。今から仕込めば、大晦日に十分間に合います。そばを打つのはハードルが高いけれども、「かえし」づくりなら料理初心者でも大丈夫。市販品には負けない、プロ並みの味を楽しめます。
そもそも「かえし」って何? という方も多いかもしれませんね。「かえし」は醤油とみりんと砂糖でつくる調味料。これを出汁で割ったものが蕎麦つゆになります。
蕎麦屋さんそれぞれに使う材料や割合、熟成のやり方などに工夫があり、店の味の決め手になるもの。うなぎ屋さんのタレやすき焼き屋さんの割下のようなものといったらイメージしやすいでしょうか。
そんな話を聞くと難しいように感じられるかもしれませんが、つくり方はいたってシンプル。いくつかあるポイントに注意すれば、家庭でも十分においしい「かえし」をつくることができるのです。
使う材料は、醤油とみりんと砂糖の3つだけ。ここで大切なのは、質のいい材料を選ぶこと(ポイント1)です。シンプルなだけに、素材のよし悪しができあがりに如実に現れるのです。
醤油5:本みりん1:砂糖1が基本の割合です。
材料はこだわればキリがありませんが、醤油は少なくとも丸大豆醤油や特選醤油を。木桶仕込みや再仕込み醤油などを使うと味の深みが違います。
そしてみりんは、みりん風調味料ではなく本みりんを使いましょう。砂糖は上白糖なら品のいい味わいに、ザラメや三温糖ならコクのある味わいに仕上がります。
つくり方もシンプルです。まずは、みりんを煮切ります。「煮切る」というのは、火にかけてアルコール分を飛ばすこと。鍋に入れて強火にかけ、沸騰してきたら火を弱火にして30秒ほど。これでアルコールの香りが消えて、みりん自体のうま味や甘味が際立ちます(ポイント2)。
次に、煮切ったみりんに砂糖を入れて混ぜ、きちんと溶かします。さらに醤油を注ぎ弱火で加熱。鍋の縁に細かい泡が立ち表面が白く見えたら火を止めましょう。ここでのポイントは、決して沸騰させないこと(ポイント3)。
火を止めたら鍋に布巾をかけて、ひと晩そのまま置いておきます。
ひと晩置いたら密閉容器に移し替えて、冷蔵庫で保管します。冬場ですから茶色の酒瓶や陶器の甕に移し替えて冷暗所に保管してもいいでしょう。なお、容器は移し替える前にアルコールや熱湯できちんと消毒しておきましょう(ポイント4)。
これで作業は終了。1~2週間たてば、醤油のカドがとれて、まろやかな味わいに。今仕込めば、大晦日ごろにはちょうどいい熟成加減に仕上がるでしょう。
年越しそばをつくる時は「かえし」を出汁で割ります。つけそばなら「かえし」1:出汁4、つゆそばなら「かえし」1:出汁6がほどよい割合。
江戸前のキリッとしたつゆにしたいなら、出汁はサバ節やカツオ節どっさりのキリッとした出汁が、関西風のやさしいつゆいなら昆布を使ったまろやかな出汁がいいでしょう。干し椎茸や飛魚(アゴ)の出汁と合わせてもおいしいものです。
「かえし」自体は、そばだけでなくさまざまな料理に応用できる万能調味料ですから、年越しそばが終わっても大活躍。肉じゃがなどの煮物や親子丼などの丼ものの下地によし、すき焼きの割下によし。炒めのもの味付けにも便利です。
大晦日の年越しそばは、一年を締めくくる大切なもの。新しい年もきっと素敵な年になる! そんな思いを込めて我が家の「かえし」を仕込みましょう。
2023.12.18 19:42 | |
2023.12.18 19:47 | |
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