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人の身体を動かす司令塔である脳にダメージを与える脳卒中。昭和26年~昭和55年まで、脳卒中は日本人の死亡原因のトップでした。現在は、メタボリック予防の意識が広まり、死亡原因の4位になっていますが、依然多くの方が脳卒中で亡くなっています。そして、何より注意したいのは、脳卒中は高齢になっておこる病気ではないということです。
若年で命を落とすことも、また、若くして要介護状態や認知症を患い長い療養が必要となることもあります。親が子供を介護する、という図式がなりたってしまう病気の一つなのです。では、脳卒中の原因とは何なのでしょうか。
脳卒中は、血圧や心臓の病気などの健康管理ができていない、不規則な食事時間や不適切な栄養(低栄養状態)、かくれ脱水(日常的に水分が足りない状態)、睡眠が十分に取れないなど、日頃の生活習慣の積み重ねが原因で発症するケースが多くみられます。
まずは、ご自身の生活習慣を見直して、脳卒中にかかりやすいかどうかのリスクをチェックし、改善に向けて計画的に暮らしを変えてみることをお勧めいたします。また、いざというときに救護にあたる人が、持病や飲んでいる薬、緊急連絡先(自宅や会社、学校など)がわかるようにする手段を考えておくことが大切です。
脳卒中にはいくつかの種類がありますが、大きくは脳に酸素や栄養素を運ぶ大切な血管が破裂しておこる出血性(脳出血、クモ膜下出血など)と、心臓由来の栓子が原因で脳の血管がつまる虚血性(脳梗塞など)に分類されます。
脳卒中は発症から時間が経てば経つほど、危険が大きくなります。出血性と虚血性とでは治療方法が異なりますので、どちらが原因となって引き起こされたのかを早期に見極めなければなりません。しかし、時間が経って出血が広がってしまうと、原因を特定することが困難になってしまうのです。
出血性の場合、クモ膜下出血では24時間以内であればCT画像診断で92%まで原因箇所を特定できますが、時間経過が過ぎると診断率が下がると報告されています。
虚血性の場合、血管のつまりの原因である栓子を溶かす治療法(経静脈的血栓溶解療法)が確立され、日本でも2005年に承認されており、良好な成果が出ていますが、この治療法で治療できるのは発症から4.5時間以内です。
つまり、診断が早ければ早いほど治療の選択肢が広がり、後遺症が残らないなどの良い結果が期待できるのです。まずは、早い段階で脳の異変を見つけることが大切です。
「頭が痛い」「頭を打った」「なにかがおかしい」というとき、まずは安静にして様子を見ようと考える方が多いようです。しかし、脳卒中の診断・治療は時間との勝負です。「安静にするということは、頭をぐらぐら動かさないこと」と考え、一刻も早く医療機関を受診しましょう。
出典:国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
脳卒中は日本人の国民病ともいえる病気です。介護が必要になった原因のトップは脳卒中であり、要介護5(重度介護)の方の33.8%の割合で、脳卒中が占めています。まずは、脳卒中にならないことが必要です。
アメリカでは一般向けに啓発活動を行っており、イギリスでは学生に対して教育の一環として周知しています。日本でも、日本脳卒中協会が「脳卒中予防十か条」を掲げるなど、啓発活動が広まっています。
出典:日本脳卒中協会
2021.07.20 20:07 | |
2021.07.21 21:44 | |
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