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熱帯夜が多くなるこれからの季節、よい睡眠をとるためには快適な寝具選びが大切です。
暑くて何度も目が覚める、寝汗でベトベト、寝相が悪く寝具から体がはみ出るなどの不快な状態を改善する方法のひとつが寝具の見直しです。
そこで今回は、sleepdesigner(睡眠健康指導士)としてブログなどでさまざまな快眠情報・アドバイスを発信している、静岡県三島市「ウメナ寝具本店」の杉本圭店長に話をお聞きしました。
夏の寝具選びで大切なのは吸湿発散性のよさなので、綿や麻などの自然素材を選ぶことがポイントです。綿のTシャツ&短パンも素材的にはいいのですが、パジャマのほうがより快適だといいます。
パジャマはゆったり大きめにつくられているので、肌にピタッと密着するようなTシャツよりは間違いなく快適です。一番涼しく感じる自然素材は「麻」だと思います。繊維がレンコンのように中空構造になっていて、熱を素早く放出できるからです。麻には複数の種類があり、日本の家庭用品品質表示法では『リネン(亜麻あま)』と『ラミー(苧麻ちょま)』が麻と表示できます。麻の肌触り(チクチク)が嫌いな方はラミーの場合が多いので、リネンを試してみてほしいです。肌感覚は人それぞれ違うので、実際に触って確かめることが大切です。
また、凹凸のある生地は肌に密着しないので、涼しく感じるそうです。
リップル、シアサッカー、しじら、ちぢみ、楊柳(ようりゅう)などの生地が涼しく感じますが、生地名に固執せず、生地表面の質感に注目したほうがいいと思います。汗かきの方にはリネンの凹凸生地がおすすめと言いたいところですが、そのようなパジャマはほとんどなく、あっても非常に高価になると思います。現実的には綿100%の凹凸生地がおすすめです。
エアコンを使う場合やお子さんには、どんなパジャマがいいのでしょうか。
エアコンで冷えやすい方には、夏用の生地を使った長袖や七分袖、長パンツや八分丈などのパジャマがおすすめです。ダブルガーゼやニットを着る方(おもに女性)も多いです。お子さんの場合は、とにかく綿100%を探してください。安価なパジャマほどポリエステルが混じります。エアコンで室内環境を整えれば、綿100%でも十分に快適です。
続いては、敷布団やベッドに使う敷パッドです。敷パッドはシーツの代用品として生まれたもので、寝具の一番上に重ねます。
敷パッドの特徴は『中わた』があること。シーツの役割にプラスして吸湿性が求められるためです。化学繊維の敷布団、ウレタン系のマットレス、金属コイルのベッドマットレスなどの場合は、自然素材の敷パッドを使ったほうがいいです。一方シーツは生地のみなので、敷寝具の汚れ防止がおもな目的です。木綿や羊毛など自然素材の中わたを使った敷布団や厚手のベッドパッドをマットレスに重ねて使っている場合は、吸湿性が備わっているのでシーツでいいでしょう。尚、ベッドの場合、ゴムが見えるので見た目が悪い、頻繁に洗うとゴムが伸びるなどの理由で敷パッドの上にシーツをかける方もいます。
夏は接触冷感の敷パッドが多く売られていますが、ここでチェックすべき点も素材です。
夏の敷パッドは、肌が触れる表生地と中わた(詰め物)の素材に綿や麻が使われているかチェックすることが最優先です。商品名に綿や麻と表記があっても、品質表示を見ると中わたがポリエステル(化学繊維)の場合もあります。麻は綿より吸湿発散性に優れているので、汗っかき、暑がりの方は麻がおすすめです。
ポリエステルなど化学繊維の接触冷感敷パッドは、強度があり洗濯しやすく乾きやすいですが、吸湿性がよくありません。
化学繊維の接触冷感敷パッドは「最初はひんやりするけれどすぐに暑くなる」と多くの方がいいます。接触冷感敷パッドの表面温度は、時間が経てば使う人の体温と同じになるので当然です。しかも吸湿性が悪いので、蒸れて不快になってしまいます。人は体温を下げないと眠れないので、寝るときにひんやりした敷パッドを求めてしまいますが、寝ているときの発汗が素早く寝具に吸収され、放出されることが大切なので、化学繊維はおすすめしません。
自然素材は夏の寝具におすすめですが、化学繊維に比べて強度が低いため、洗濯の際には注意が必要です。
夏は特に頻繁に洗濯したいですが、洗濯は寝具を痛めるというデメリットがあります。自然素材、特に麻の製品はネットに入れること、脱水を短く設定することが大切。タンブラー乾燥(ドラム式洗濯乾燥機など)を行うと縮んでしまうので、自然乾燥が基本です。
夏用の掛け布団には、ガーゼケット、タオルケット、キルトケットなどがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
ガーゼケットは、ガーゼ生地を多層に重ねたもので、吸湿発散性に優れています。タオルケットよりも発散性が高いので、暑がりの方にもおすめです。
夏の肌掛け布団を薄くしたキルトケットも人気だそうです。
キルトケットは、敷パッドのような構造でタオルケットのような使い方をする商品です。ガーゼケットやタオルケットは肌にまとわりつくので、それを嫌がる方に支持されています。
ここまで寝具選びについてご紹介してきましたが、それとともに室内環境(温度と湿度)を整えることも重要だといいます。
寝室の温度は25~27度、湿度は50%前後が目安です。エアコンの設定と実際の環境は異なることがあるので、枕元に温湿度計を置き、その値を目安に温度設定しましょう。エアコンの風向きは天井付近で固定し、扇風機は天井に向けて空気を循環させるなど、体に風が当たらないようにすることも大切です。
夏に限らず寝具選びで大切なことは「寝ている6~8時間という長い時間を快適に使えるかどうか」だといいます。
当店では、長い時間快適な睡眠環境を作れる寝具かどうかを条件に仕入れるので、必然的に自然素材をしっかり使った寝具が揃っています。また、使う方に合った寝具をおすすめするので、一方的に提案することはありません。ただし、最近のお客さまのニーズを汲み取ると、敷パッドは麻や綿の凹凸生地のタイプ、枕カバーやシーツは麻、パジャマは七分袖、掛け布団はガーゼケットやキルトケットなどが多くの方に求められていると感じています。
ウメナ寝具では、アフターフォローができる販売スタイルを基本としていることから、ネット販売はしていません。今回ご紹介したことを参考に、今使っている寝具の素材や肌触りなどをチェックして、より快適なものを探してみてはいかがでしょうか。
2021.07.03 20:40 | |
2021.07.03 20:43 | |
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