住宅ローンの借り換えで得する人、損する人。注意すべきポイントとは?

住宅ローンの借り換えで得する人、損する人。注意すべきポイントとは?

あと10年、20年...返済を続けなければならない住宅ローン。「今より金利が低いローンに借り換えれば、返済額が減ってトクするのではないか?」と考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、借り換える際には諸費用・手数料がかかり、さまざまな手続きも必要です。金融機関や金利タイプによって金利や手数料が違うので、どこを選んだらより返済額が減るのかを判断するのもなかなか難しいものです。

そこで今回は、借り換えのメリットと注意点についてご紹介していきます。

住宅ローンの借り換えには諸費用・手数料がかかるという前提があり、金利が少し低いくらいではメリットが出ない可能性があります。一般的に、借り換え後の金利差が1%以上、ローン残高が1,000万円以上、ローン返済期間が10年以上などの条件を満たすケースであればおトクだと言われています。

ローン残高が少ない場合や返済期間が短い場合、借り換え後との金利差が小さい場合は、手間と時間をかけて借り換えをしてもおトクになる金額があまりないことや、支払う諸費用を考えるとかえって損になることもあるのです。

同じ金融機関で金利の条件変更(引き下げ)を交渉できる場合は、諸費用がかからずメリットが出やすくなります。他行で借り換えられた場合の金利条件などを確認し、現在借りている金融機関に相談するのも一案です。その際の交渉は、借り換えの審査を受けた場合に承諾されるであろう条件(収入や健康面など)が整っているほうが、有利に進めやすくなります。

借り換えメリットが出やすい条件

  • 住宅ローン残高が1,000万以上
  • 住宅ローン返済期間が10年以上
  • 借り換え後の金利差が1%以上

借り換えの際、注意すべきポイントは諸費用です。印紙税や登録免許税などに差はありませんが、融資手数料とローン保証料は金融機関によって違いがあります。

ネット銀行系で保証料が0円のところがあり、一見して安く見えますが、手数料が借入額の2%というケースが少なくありません。諸費用の総額、特に手数料と保証料に注意して比較検討することが必要です。

例えば、2,000万円の借入額の場合、相場で見てみると、

  • 都市銀行系では、手数料3万円+保証料30万円(あるいは金利0.2%上乗せ)=33万円(税抜)
  • ネット銀行系では、手数料40万円(2000万円×2%)+保証料0円=40万円(税抜)

このようなケースも出てくるのです。

金融機関によって、返済期間などに応じて100万円や1,000万円単位での一括支払いの保証料が決まっています。今回は残り20年間で2,000万円を返済するケースでの概算を行いました。

借り換え時にかかるおもな諸費用の相場

融資手数料
都市銀行系は3~5万円(税抜)程度、ネット銀行系は借入額の2.0%(税抜)程度。
保証料
都市銀行系は金利+0.2%あるいは金融機関所定の計算で一括支払い、ネット銀行系は保証料0円が多い。
印紙税(電子契約の場合は不要)
借入額1,000万円超5,000万円以下の場合は2万円
抵当権設定・登記費用
借入額の0.4%の登録免許税、登記に関わる実費5~10万円程度。

シミュレーションサイトで計算

次に、借り換えで実際どのくらいの効果が出るのか、シミュレーションサイトを使って計算してみました。

現在のローン残高が2,000万円、ローンの残りの期間は15年、金利2.5%で借りているとします(ボーナス支払いはなし)。

これを金利1.5%で借り換えた場合、毎月の返済額は借り換え前より9,209円下がり、残り15年の総返済額は1,657,620円軽減されます。

この場合「ローン残高1,000万円以上」「ローン返済期間10年以上」「借り換え後の金利差1%以上」を満たしているので、諸費用を差し引いてもメリットがありますが、この条件を満たしていなくてもおトクになるケースはあります。

一般社団法人 全国銀行協会(シミュレーションサイト)を使って比較してみましょう。

  借り換えない場合 借り換えた場合 借り換え効果
金利 2.50% 1.50% -1.00%
毎月返済額 133,358円 124,149円 9,209円
年間返済額 1,600,296円 1,489,788円 110,508円
総返済額 24,004,440円 22,346,820円 ▲1,657,620円

比較のシミュレーションをとり、メリットのある金融機関をピックアップしたら、事前審査・仮審査を申し込みます。この審査に通ると本審査に進みますが、その前に今借りている金融機関にローンの相談・交渉をすることもできます。

現在の金融機関に全額繰り上げ返済を申し出る際、他行に借り換えされないために、金融機関から金利の引き下げを提案されることもあります。また、こちらから『他で仮審査をして、そこでは金利1.5%なので、1.5%に下げてもらえませんか?』『1.5%は無理ですが1.8%なら可能です』といった交渉もできます。借り換えた場合の数字など材料をそろえると、現在の金利の引き下げをしてくれる可能性が高くなります。

50歳以降の借り換えなら、10年などの固定期間選択型が魅力的

今からマンションを購入する方、長期ローンを組む方に、期間を固定したローンはあまりおすすめしません。なぜなら、10年などの固定期間が経った後、変動金利もしくは再度固定金利を選ぶことになり、金利が変動するリスクを逃れられないからです。

しかし、10年などの固定期間選択型は金利が低く設定されていることが多いので、現在50代でローンがあと10年なら、借り換えて10年で完済しその後退職というのはいい計画だと思います。金利の低い変動金利に借り換えるのも悪くはありませんが、金利上昇のリスクもはらんでいます

審査を通らない可能性も!?

住宅ローンを借り換える際、審査を通らない可能性があることを忘れてはいけません。収入の状況や健康状態、物件の状態(価値)など、現在のローンの審査時とは状況が変わっていることもあるので、『ここに借り換えればおトク』と思っても、必ずしもいい結果につながるとは限らないことも頭に入れて判断しましょう。

今回ご紹介したポイントを踏まえ、さまざまな情報を集めながら、よりよい選択につなげていきましょう。

2019.06.27 20:34
2019.07.26 15:51
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