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進化著しい日本のチーズと、世界の注目を集めている日本のワイン、いかがでしょう?
お話をうかがったのは、日本のチーズと日本のワインをいただける〈湘南ファーム〉オーナーの柴本幹也さん。カウンター中心のこぢんまりとしたバーですが、チーズは常時40種類前後、ワインは100種類前後という充実のラインナップ。折々のおいしいワイン10種類前後をグラスでいただける楽しみもあり、地元・湘南の住人をはじめ、舌の肥えた人々に愛されています。
柴本さんは、チーズプロフェッショナル協会認定のチーズプロフェッショナルにしてチーズ検定講師。ジャパン チーズ アワードでは審査員も務めた方。鎌倉・長谷の古民家で主催するイベント「古民家で楽しむ日本ワインと日本チーズ」も好評で、その人気は告知してまもなく予約がいっぱいになるほどです。
この日、柴本さんにまず切っていただいたのは山羊のチーズ。日本国内でも次第につくり手の増えてきたという山羊のチーズ。「食わず嫌いで苦手という人も多いのですが、その8割方が"食べてみたらおいしい"とおっしゃいますね」と柴本さん。
左から広島県〈三良坂フロマージュ〉の「カレ・ド・ラヴォンド・シェーブル」。風味豊かな放牧山羊乳チーズに地元〈三次ハーブ園〉のさわやかなラベンダーをマリアージュしたもの。中央は北海道〈山田農場チーズ工房〉の「ガロのチーズ 10日間熟成」。
山羊乳と羊乳を合わせてつくったもので、深いコクが感じられました。右は栃木県那須高原〈今牧場〉の「茶臼岳」。JAL国際線ファーストクラスの機内食にも登場した、品のよい風味のチーズです。
山羊は自然繁殖が基本で、乳を搾る期間に限りがあります。だから多くは生産できませんが、複雑で奥行きのある味わいにハマる人も少なくないとか。もちろん、牛乳でつくられるチーズも多種多様で魅力豊かなものばかり。同じ牧場で同じ牛から絞った乳を原料としていても、乳を絞る時期や熟成期間で異なる味わいや風味のチーズに仕上がるのだとか。
たとえば長野〈清水牧場〉のバッカス。高原で放牧されたブラウンスイス牛の乳からつくられるチーズですが、冬に干し草を食べた牛の乳を原料にしたもの(左)は、コクはあるけれど風味はおだやか。
一方、夏に高地の青草を食べた牛の乳を原料にしたもの(右)は、脂肪分が少ないけれど風味が強く複雑だといいます。
ヨーロッパに学び本場に負けないクオリティを目指す人、独自の路線を歩み日本オリジナルの味わいを生み出そうとする人......。歩む道はそれぞれですが、日本の風土を舞台においしいチーズをつくろうという志は、みな同じ。その志が、日本のチーズの進化を支えてきたと柴本さん。
フランスで開かれたチーズ国際コンクールでスーパーゴールドの栄冠に輝いたものもあるといいます。
「こうしたつくり手さんのほとんどは、家族を中心に少人数の工房で、志に恥じない良心的なものづくりを行っています。そこに日本のワインづくりと共通のものがあります」
風土にも、牛やブドウにも、人にもストレスのないつくり方をしたものには、それとわかるおいしさがあるのでしょう。私たちも食べること、飲むことを通じて、そんなつくり手を応援していけたら。きっと日本のチーズやワインは、もっとおいしくなるにちがいありません。
カットしてそのままでよし、トロリとろけるラクレットもよし、ピザによし。つくり手に思いを馳せながら、チーズとワインのマリアージュを楽しみましょう。
2020.02.28 15:18 | |
2021.09.17 12:34 | |
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