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お寺などの精進料理に使われる「大豆の出汁」をご存知ですか。かつお節や煮干しなどの動物性の食材を一切使うことなく、しいたけや昆布など植物性の食材からとる出汁を精進出汁と呼びますが、大豆出汁もその一つです。
大豆を炒って沸騰した湯を注ぎ、半日ほど置くだけで、香ばしく穏やかな味わいのお出汁ができあがります。用意するのは乾燥大豆と熱湯だけ。大豆10gに対して、熱湯の量は100mlとなります。
まずは、乾燥大豆を軽く水洗いして、フライパンに入れて弱火にかけます。成功のコツは、焦がさないようにじっくり炒ること。気持ちを鎮めて耳を澄まして20分~30分。初めは「カラカラ」と聞こえていた豆の転がる音が、次第に「コロコロ」と聞こえるようになり、もう一度「カラカラ」と軽い音に変わったら、火を止めるころ合い。くれぐれも焦がさないよう集中を。
次に、炒りあげた大豆を熱いうちにボールに移して熱湯を注ぎ入れます。しばらく放置して粗熱がとれたら冷蔵庫へ。そのまま半日ほどおけば、香ばしい大豆出汁の完成です。
できあがった出汁は、ふっくらと丸みがあって、かつお出汁にも負けない豊かなコク。保存する場合は大豆を取り出して密閉容器に入れ、冷蔵庫へ。2~3日は日持ちします。冷凍保存なら3週間は大丈夫です。
体に染み込む優しいお出汁は、シンプルな味噌汁はもちろんですが、高野豆腐を煮含めてよし、野菜の炊き合わせによし。精進料理の代表格、けんちん汁の下地によし。味わいに厚みが出ます。
昆布や干ししいたけなど、ほかの精進出汁と合わせれば、さらに深みのある味わいに。やさしく穏やかな精進出汁は、胃腸が弱ったときにも体にすうっと染み込みます。
取り出した大豆は、汁物や煮物の具に活用しましょう。ベーシックなところでは、ひじきと一緒に煮付けにどうぞ。ちょっとひと工夫して、トマト煮やカレーの具にも。
間もなく大豆の収穫期。新ものの大豆が出まわるのも、もうすぐです。味覚の秋、精進出汁で料理の幅を広げましょう。
2019.09.12 20:51 | |
2019.09.12 21:02 | |
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