早春の熱海へ~梅園・温泉・開運祈願・干物・夜景…

早春の熱海へ~梅園・温泉・開運祈願・干物・夜景…

大寒の季節に蕾をほころばせはじめる梅の花。冷たい空気のなかに漂うほのかな香りが、まもなく訪れる春をそっと知らせてくれます。ひと足早い春を探しに、梅園へ足を運んでみました。

おすすめしたいのが、古くから名湯と名高い熱海の梅園。熱いお湯に浸かって芯から温まりながら、春の訪れを愛でる。そんな旅に出かけましょう。

熱海の温泉の歴史は古く、開湯は1200年以上前とも。海中から熱湯が吹き出しているのが発見され「熱い海」から「熱海」と名付けられたとの言い伝えも。

その熱い湯から魚や領民を救おうと、箱根権現(箱根神社)を建立したとされる人物、万巻上人(まんがんしょうにん)が薬師如来に祈り、現在の大湯間欠泉の地に温泉を移したのが熱海温泉の始まりだと、湯前神社の由来記に書かれています。

その湯の効能は広く知られ、歴史上の人物も熱海の湯を愛しました。そのひとりが徳川家康。湯治のため熱海に滞在し、その後、熱海の温泉を汲んで江戸城に運ばせたとか。そこから熱海の名が広く知られ、大名や文人墨客が熱海を訪れるように。

明治時代になると、徳川家光の御殿跡に当時の皇太子(のちの大正天皇)のための熱海御用邸が完成します。それを機に政界や財界の重鎮、上流階級の別荘が建てられて、熱海はますますにぎわいました。

尾崎紅葉の新聞小説『金色夜叉』の流行によって、熱海の名が全国に知れ渡ったのも明治時代。「熱海の海岸散歩して」の言葉どおり、熱海海岸の近くには別れのシーンに登場する「お宮の松」があり、主人公の貫一とお宮の像が立っています。

熱海梅林が完成したのも明治19年。もともと国内初の温泉療養施設に併設されたものでしたが、皇室に献納された後、昭和10年に熱海街に払い下げられます。こうして1万坪に及ぶ熱海の梅林は、人々の憩いの場となりました。

熱海梅園は、今や日本一早咲きの梅が楽しめる早春の名所。毎年12月上旬に最初の梅がつぼみをほころばせ、59品種472本の梅が順繰りに花を咲かせます。早咲きから中咲き、遅咲きと長い期間にわたり梅を楽しめるとあって人気も上々。

梅の花が咲く季節に開催される熱海梅園梅まつりの期間中には、園内に足湯や土産店もオープン。熱海芸妓連による野点茶会や演芸会、落語会や大道芸のパフォーマンス、甘酒の無料サービスなどイベントも多数。

梅の花を楽しんだ後は、こんこんと湧きだす温泉に浸かってひと休み。熱海には住人に混じって掛け流しの湯を楽しみながら地元気分を味わえる共同湯や、日帰り利用できるゴージャスな旅館のお風呂、大規模なスパリゾートもあり。

温泉街のほど近くに鎮座する来宮神社に詣でて、新たな年の開運を祈願するのもおすすめ。樹齢2000年以上とされるご境内のご神木「大楠」の圧倒的な迫力を前にすると、日常の悩みも吹き飛んでしまいそうです。

そして熱海で食を楽しむなら魚介に限ります。新鮮なお刺身はもちろんですが、あえておすすめしたいのが名物の干物。目の前の相模湾で獲れる金目鯛やアジ、イカなどの旨味をぎゅっと凝縮して、うまいのなんの!

江戸時代から5代続く干物専門店「釜鶴ひもの店」では店内でえらんだ干物を、併設の和食処「海幸楽膳 釜つる」の店内で焼いて食べることもできます。

ゆっくりできるなら熱海の夜景を楽しむのもオツなもの。熱海城のふもとにある駐車場からは、山肌に沿って灯る旅館の明かりが美しく、ロマンチックな雰囲気を楽しめます。

綿密な計画などなくたって楽しめる、梅と温泉をめぐる春の旅行、ふらりと楽しんでみませんか?

2020.01.16 18:55
2021.09.17 12:35
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