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以前、京都を旅した際に注文していた器が届きました。京都の静かな住宅街にある素敵な町屋を職住一体の「工房」とし、日本酒にまつわる器を中心に、センス溢れる味わい深い作品をご夫婦でつくっておられる「酒器 今宵堂」のおちょこです。
今宵堂のことは、ガイドブックやネットの情報で見て知っていて、京都へ行ったら必ず立ち寄ろう!と前々からチェックしていました。
ご夫婦ふたりの遊び心と気遣いの行き届いた小さな工房にお邪魔し、穏やかな時間を過ごしながら、まるで友達に相談するような感覚で「こんな酒器が欲しいんです!」と細かくお願いしてしまいました。
そうして、ワクワクしながら待つこと数ヶ月。手づくりならではの質感とモダンなかっこよさ、スタッキングできる実用性をも兼ね備えたおちょこが届いたのです!
試作として釉薬違いで2種類焼いてくださり、購入を決める前にその2種類を画像で見せていただいたのですが、どちらも想像通り、いえ、それ以上に素敵だったので、結局2種類を2個ずつ、合計4個のおちょこを購入。完全なるオリジナルの「作品」なのに、1個2000円というリーズナブルな価格にも驚いてしまいます。
ほかにも、ずっとほしかった「焼き魚用の平皿」を注文。親子3人とも粕漬けが大好きなわが家なのですが、それを載せるのにふさわしい器というのが、なかなかないのです。
そこで、サイズ、色味、用途などを相談して、あとはお任せでつくっていただきました。これも大満足。魚だけでなく、香の物や小さな巻き寿司などを並べても映えるし、とっても重宝しています。
おちょこも平皿も、うちに来た友人たちから「どこで買ったの?」と、何度も尋ねられる逸品。自分がつくったわけじゃないのに、何となく誇らしい気分になれるのは、今宵堂のご夫妻と実際に話してなんだか身内のような感覚になっているから、かもしれません。
今宵堂のような完全なるオリジナルでなくとも、そこには「旅の思い出」や「人との出会い」がセットになっていて、ふだん買う市販品とはまた違う愛おしさを感じさせてくれます。
京都では、老舗・清課堂で錫のおちょこを買ったこともあります。
つくり手とのコミュニケーションまでも思い出のひとつとして、大切に使っていきたくなるのが今宵堂の酒器だとすれば、清課堂の器は「日本の技と伝統を日々身近に感じさせてくれる器」です。
インターネットで買うこともできますが、この器が生まれた京都の地まで足を運んで「どれにしようか」と、1時間近く悩んで買ったのも、とてもいい思い出。
こちらは、金沢の小さなギャラリーで見付けた、藤田圭子さんという作家のまめ皿。九谷焼の技術を活かした作品をつくっている方ですが、この皿はレースのような乙女チックな風情。思わず一目惚れして、2枚ほど買って帰りました。
これも金沢。ひなびた古道具屋で見付けた、昭和初期の小鉢です。もとは10客入りだったそうですが、バラ売りされて5客が残っていました。「まとめて買うから!」と安くしてもらい、予定外の買い物。
でも、ちょうどこんな大きさのデザート容器がほしかったのです。「旅先だから買った器」ではなく「ほしい器がたまたま金沢にあった」という感じの、まさに「出会い」でした。ぶどうにも、アイスにも、お漬け物にもぴったりです。
島根を旅した際には、出西窯(しゅっさいがま)まで足を伸ばしました。
昭和22年に誕生したこの窯は、民藝運動の父として知られる柳宗悦の教えを受け、素朴ながらも美しい暮らしの道具をつくり続けています。
現在でも、味わいのある民芸品のほか、宗悦の息子であり、世界的に名の知られたプロダクトデザイナー、柳宗理が指導に当たった「柳宗理ディレクション出西窯シリーズ」も出していて、宗理が亡くなった今も変わらぬ完成度を保っています。
私が今回買ったのは、サラダボウルにぴったりの大鉢。和の煮物を上品に盛っても、洋のサラダをこんもり盛り付けてもしっくりくる、シンプルモダンな形と白釉の素朴な味わいがとてもいい感じ。使うたびに、島根の景色や楽しかった思い出が頭をよぎります。
旅先でムダに荷物を増やすような「土産物」は買わない!と、長年思い続けていた私ですが、本当に気に入った器を買う、という行為はとても気に入っています。
今後も、その土地、その店でしか出会えない器を見付けたら、きっと買ってしまうことでしょう。そして、それを生涯(割れないように細心の注意を払いながら!)大切に大切に、使い続けることでしょう。
旅先でお気に入りの器を買う。お出かけの際、ぜひ試してみてください。
2019.08.31 20:36 | |
2021.09.17 12:37 | |
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