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京都の旅で一保堂茶舗を訪ね、併設の喫茶室「嘉木」で煎茶とお菓子を頼みました。
そのとき飲んだ煎茶がとっても甘く、上品な味わいで、「こんなにおいしい煎茶、初めて飲んだ!」と感激した私です。
いい茶葉を使っているから?もちろんそれもあるでしょう。でもじつは、それだけではないのです。
というのも、私は数年前にも嘉木で飲んだのと同じ茶葉を使って、自宅でお茶を淹れて飲んでみたことがありました。が!そのときは取り立てておいしいとも思わなかったのです。
つまり、煎茶は淹れ方しだいでもっと美味しくなるってこと。
日本人にとって「緑茶」は非常に身近な存在ですよね。
そもそも緑茶とは、玉露、番茶、抹茶、ほうじ茶などの総称ですが、中でもとくに多くの人が日常的に飲んでいるのが「煎茶」です。
でも、その煎茶をおいしく淹れる方法については、知らない、もしくは、それほど意識したこともない、という人が多いのでは?
身近すぎるだけに、なんとな~く淹れている煎茶。ほんのちょっとしたことで、甘味と渋味の加減がちょうどよくなりホントにおいしくなるので、ぜひぜひ試してみてください。
まず、茶葉は「そんなにたくさん?」と驚くぐらいたっぷり入れます。
目安としては、茶さじ山盛り2杯。1人分でもこのくらい使いましょう。ほうじ茶や番茶もそうですが、惜しまずに茶葉を使うのが第一番目のポイントです。
次に大切なのが湯の温度です。煎茶のおいしさを最も引き出してくれるのは、80度程度。
熱すぎると渋味の成分であるタンニンが溶け出しすぎて「苦い!」という印象のお茶になってしまいます。
甘味、旨味、苦味がちょうどいい頃合いで抽出されてこそ、煎茶の真価が発揮できる。その適温が、80度なのです。
ちなみに玉露は60度程度で淹れるとよいそうです。
80度のお湯の見分け方は、とても簡単です。ポットややかんで沸騰させてカルキを抜いたお湯を、いったん湯飲みに注いでから、茶葉を入れた急須に移すのです。
これで、ほぼ適温になっています。こうすれば湯飲みも温められるし、ラストに出てくるポイント「最後の1滴まで注ぎきる」という点でも、ちょうど湯飲み分のお湯の量がわかるので一石二鳥どころか、よいこと尽くしです。
湯飲みのお湯を急須に移したら、すぐに蓋をして待ちます。時間は50秒ほど。
慣れるまでは、キッチンタイマーなどできっちり計ってみましょう。50秒って意外と短いです。「今までは時間を置きすぎていたのかも」と実感できます。
もうひとつ。蓋をして待つ間は急須を揺すったりしないこと!揺することで、余分な苦味やにごりが出やすくなるそうです。
そのまま静かに、時間が経つのを待ちましょう。
最後のポイントは、最後の一滴まで注ぎきること。
最後の一滴には旨味が凝縮されているし、2煎目以降をおいしく味わうためにも、急須の中にお湯を残しておいてはダメなのです。
ちなみに2煎目からは、待ち時間は不要。すでに茶葉が開いているので湯飲みから急須にお湯を移したら、すぐに注ぎましょう。3煎ぐらいまでおいしくいただけます。
上品な甘さとほどよい渋味の、おいしい煎茶が入りました。今までは「今日はちょっと渋すぎる」「今日のはまぁまぁ」となかなか味が安定しなかったけれど、正しい淹れ方を知ればいつでも確実においしい煎茶が淹れられます。
香りもいいし、テアニン効果で気持ちも落ち着く感じ。お茶うけと一緒に出せば、お客さんも喜んでくれるでしょう!
ちなみに、今回ご紹介した湯温や待ち時間はあくまで目安。私自身は、甘味が強く苦味の少ないほうが好きなので、80度よりもっと冷ましてから淹れることもあります。時間も「30秒ぐらいで十分」と感じる人もいるかもしれませんね。
頻繁に飲む煎茶ですから「自分の好きな味の作り方」を探るのも、また楽しいもの。ただし、茶葉の量をケチらないこと、高すぎる湯温で淹れないこと、時間を長く置きすぎないこと、などなど、基本のルールは守りましょう。
自分好みの味を見付けたら、お茶の時間はさらに楽しくなります。
2021.07.12 16:17 | |
2021.07.12 16:18 | |
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