• ホーム
  • 雑記・雑学
  • シンプルな材料と職人技で丁寧につくられる独特の味わいフランスパン

シンプルな材料と職人技で丁寧につくられる独特の味わいフランスパン

シンプルな材料と職人技で丁寧につくられる独特の味わいフランスパン

フランスパン(pain français)

小麦粉、水、塩、イーストを基本とするパリ発祥の伝統的なパン。フランスでは「pain traditionnel」パン・トラディショネルと呼ばれていたが、他国での呼び名に合わせ「pain français」パン・フランセとも。シンプルな材料だけに、発酵具合や焼き加減を調整するのに経験と実力を要する。

日本で「フランスパン」といえば、外が硬くて中がやわらかい、細長い棒状のパンが思い浮かびます。あれは、正確にいうとbaguetteバゲット。フランスパンの一種ではありますが、フランスパン=バゲットではなく、ほかにもいろいろな種類があります。

バゲットは「杖、棒」という意味で、フランスパンの代表格。薄くパリッとした表皮、大小不揃いな気泡、発酵によるコクと香り、ほどよい塩味のきいたやわらかい中身が魅力です。フランスでは種類による長さなどもきちんと決まっていて、バゲットは長さ約60~70cm、重量は250~300g前後です。

パリジャン、バゲット、バタール。その違いとは?

バゲットと同じような棒状タイプでは、「パリッ子」という意味のパリジャンも有名。日本でよく見かける棒状のフランスパンの中では一番太く、表面には5~6本のクープ(切り込み)が付いているのが一般的です。また、「中間の」という意味のバタールは、その名の通り、バゲットとパリジャンの中間的な見た目。長さは短めなのですが、太さがバゲットより太い分、中身の割合が多くなるため、やわらかいタイプを好む人にもおすすめです。

丸い形のフランスパンも人気。たとえば「丸、ボール」という意味を持つ中型のブール。表面にクロスさせた数本のクープが入っているのが特徴です。この「ブール」をもとにブーランジェ(パン職人)、ブーランジェリー(パン屋)という言葉が生まれたというくらい、伝統的なパンです。ほかにも、田舎風パンという意味のパン・ド・カンパーニュはどっしりとした丸型やラグビーボール型で、素朴な味わいの食事パン。カンパーニュにはライ麦が混ぜられる場合もあります。日持ちするのと、スープによく合うので、日本でも人気ですよね。麦の穂の形をしたエピは、ベーコンを入れたベーコンエピが日本でもすっかり定着しています。

パンを愛してやまないフランス人が育てた本物の味

フランスパンは基本的に、小麦粉とイースト、塩、水だけというシンプルな材料でつくられています。吟味された素材と職人の技をそのまま反映する、ごまかしのきかないパンといえるかもしれません。味付けといえば塩だけなのに、かめばかむほど味わい深い。あのおいしさはどこからくるのでしょう? もちろん小麦そのものの旨味も大きく影響しますが、イーストの働きも見逃せません。ワインやチーズと同様、発酵食品ですから、イーストの発酵風味が加わることで、素朴ながらも奥深いおいしさが生まれるのです。

おいしいパン文化を育んでいるフランス人は、もちろん、筋金入りのパン好き。とくに、日々の食卓に欠かせないバゲットに対する期待は大きく、その分、店側も探求を怠りません。1995年からはバゲットをさらに楽しみ、より発展させていこうと、パリ市とパリ商工会議所がバゲットコンクールを開催。長さ・重量ともに細かい規格に適合したバゲットのみが参加でき、審査は焼き加減、食感、香り、塩加減など、見た目から味まで多方面から厳しく行われているそう。グランプリ受賞者には賞金のほか、1年間、大統領官邸に毎日そのバゲットを供するという栄誉が与えられるといいます。そんなフランスでつくられるバゲットが、おいしくないわけがありませんよね?

とはいえ、「フランスパンにはあまり興味がない」という人もいるかもしれません。でもそれは、本場のフランスパンを食べていないから…では? というのも、日本の大手パンメーカーから市販されているフランスパンは、外観こそパリジャンやバゲット、バタールなどに似ていますが、素材も製法もフランスとは異なるため、本家のフランスパンとは味も食感もまったく別物である場合がほとんど。最近は、フランス資本のブーランジェリーも日本に続々進出していますし、町なかのパン屋さんでも本格的なバゲットが買える店が増えているので、ぜひ本物のフランスパンを味わってみてください。

バゲットをもっと楽しむ!

シンプルなだけに、かめばかむほど味わい深くなるバゲット。本来のおいしさを楽しむには、バターもジャムもつけずにそのまま食べてみましょう。でも、それ以外にもアレンジ自在なのが素朴なパンならではの利点でもあります。

たとえばトマトのブルスケッタは、薄くスライしたバゲットの両面をフライパンかトースターでこんがり焼いてにんにくをこすりつけておき、食べる直前に、1cmのダイスにカットした完熟トマト(オリーブオイル、刻んだバジル、塩、黒胡椒であえる)をのせるだけ。

また、ピクニックにはバゲットを持って行き、その場でナチュラルチーズやおいしいハムなどをはさんだサンドイッチをつくっても! あまったバゲットはオニオンスープに添えたり、フレンチトーストにするのもおすすめです。

2019.07.10 20:21
2019.07.26 15:41
雑記・雑学

Relates