バニラビーンズ~スイーツに欠かせない甘い香りの正体

バニラビーンズ~スイーツに欠かせない甘い香りの正体

バニラ(vanilla)

メキシコを原産とするラン科の蔓性植物。主な産地はマダガスカル、インドネシア、タヒチ、メキシコなど。香料となるのは果実だが、収穫した時点で香りはなく、発酵・乾燥を繰り返すことで独特の芳香を生む。日本では観葉植物として流通しているが、冬場も高温を必要とする上、大きな株にならないと開花しないため、個人栽培は難しい。

アイスクリームやプリン、チョコレート、焼き菓子、リキュールなどの香り付けに欠かせないバニラ。世界で最もよく使われる、甘~い香りの天然香料です。グリーンがかった白い可憐な花を咲かせますが、香りが生み出されるのは花からではなく、果実から。

さや状の果実であるバニラビーンズは、最初は緑色で青臭く、キュアリングという発酵熟成工程を経てようやく褐色になります。こうなって初めて、あの高貴で芳醇な甘い香りを放つようになるのです。

受粉から収穫までに数ヶ月、その後も手間と時間のかかる丁寧なキュアリングを要するといいますから、バニラビーンズが高価(1本で200円前後)なのもうなずけます。

一般的に、香料としてのバニラといえば、バニラビーンズ、バニラエッセンス、バニラオイルの3種類。

エッセンスとオイルは、アルコール(主にエタノール)または、食用オイルにバニラビーンズを漬け込んで香りのエキスを抽出したものですが、スーパーなどでよく見かけるものは、天然のバニラビーンズではなく人工の芳香成分(合成バニリン)を使用しています(だからこそ、安価に大量生産ができるのです)。

いずれも使いやすい液状で、保存もしやすく、手軽に用いることができます。

一方「合成香料のバニラエッセンスは人工的な感じがする」「ナチュラルな素材を使いたい」などの理由から、蒸留酒に天然のバニラビーンズを直接漬け込んだ、バニラエクストラクトを好んで使う人も多いようです。エクストラクトは輸入食品店やネットショップで購入できますが、蒸留酒(バーボン、ダークラムなど)と、縦二つに切り分けたバニラビーンズを密閉容器に入れて漬け込めばホームメイドも可能です。

ビーンズ、オイル、エッセンス。どう使う?

エッセンスとオイルの使い分けですが、前者は揮発性が高いのでアイスクリームやホイップクリームなど火を通さないものに香り付けが向いています。香りの強さはバニラオイルには劣りますが、冷菓なら十分な香り付けができるでしょう。バニラオイルは水に溶けにくいので、逆に冷菓などには不向き。加熱しても香りが損なわれない特長を生かして、クッキーやパウンドケーキ、シフォンケーキ、スポンジなどの焼き菓子に使うのがおすすめです。エッセンスもオイルも数滴で十分な香りを放つので、使用する際は一気に入れすぎないように気をつけましょう。

ちなみに、アメリカのお菓子のレシピにはバニラエクストラクトが頻繁に登場し、その使用量は「小さじ1」など多め。「バニラエッセンス数滴」になじんだ私たちから見ると多すぎるように感じるかもしれません。エッセンスもエクストラクトもつくり方の基本は同じですが、抽出や混合の濃度が違うため、エクストラクトの場合はエッセンスよりも使用量を多くすることが多いのです。それぞれの特徴を知り、レシピなどを参考にしながら使用する分量を決めましょう。

エッセンスもオイルも使い方しだいですばらしい香りを与えることができますが、やはり天然のバニラビーンズも使いこなしてみたいもの。とくに、本来のバニラの香りを活かしたいプリンやアイスクリーム、カスタードクリームなどにはバニラビーンズそのものがおすすめです。お菓子だけでなく、ミルクやホットカクテルに溶かして飲んだり、先ほど紹介したバニラエクストラクトを手づくりしたりと、使い方はいろいろ。プロのパティシエは産地にこだわって使い分けるほどですから、それだけ仕上がりに違いが出るのです。エッセンスやオイルなどに比べればたしかに高価ではありますが、天然のバニラだけが持つ豊かな香りをぜひ試してみてください。

バニラビーンズはこうして使う

バニラビーンズの黒くて細いさやの中には、非常に細かい黒色の種子が詰まっています。プリンやバニラアイスなどに見られる小さな黒いツブツブ、あれがバニラビーンズの種なのです。

取り出し方は簡単。バニラビーンズを使う分だけカットし、縦に切れ目を入れて、ナイフの背やスプーンなどで種をこそげ取る感じ。取った種はそのまま生地やクリームに加えて使います(煮出して使う場合はさやごと煮出します)。

種を取った後のさやは牛乳に入れて加熱し、はちみつや砂糖を加えてバニラホットミルクとして飲んでもいいし、ミルクティーや牛乳を使うお菓子の材料にしてもいいですね!

煮出した後のさやにもいい香りが残っているようなら、洗って十分に乾燥させれば、さらに活用可能。たとえば砂糖の容器に入れておけばバニラが香るバニラシュガーになるし、ドライフルーツ、洋酒(またはシロップ)と一緒に漬け込めば、優しい香りが移ります。

2019.07.06 21:55
雑記・雑学

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