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ねぎ
原産は中国西部・中央アジア。硫化アリルによる特有の辛みと匂いを持ち、日本では古くから薬味として用いられるほか、鍋料理や煮物、炒め物などに幅広く活用される。料理の脇役として頻繁に登場するが、焼きねぎやスープなどメインの食材としても優秀。
鍋といえば、くたくたに煮込んで甘みの増したねぎが欠かせません。元来、冬野菜なので、やはり冬に収穫されたねぎはとくに味がよいといわれますが、冬の定番である鍋物やすき焼きだけでなく、麺類、みそ汁、豆腐などの薬味や炒め物などに幅広く用いられるので、家庭でも外食産業でも一年中登場する野菜です。でもじつは、関東と関西とでは、一般的に見かける品種が異なるのをご存知ですか?
ねぎは大きくわけて、白ねぎ(根深ねぎ・長ねぎ)と、青ねぎ(葉ねぎ)があります。昔から東日本では成長とともに土を盛り上げて陽を当てないようにしてつくった、辛みが強く太い白ねぎが栽培され、西日本では陽に当ててつくった、緑の葉の先端部まで食べられるやわらかい青ねぎが一般的でした。
関東は耕土が深く、冬の寒さも厳しいので白ねぎが、温暖で耕土の浅い関西地方には青ねぎが、それぞれ栽培に適していたと考えられます。このため、単に「ねぎ」というと東日本では白ねぎをイメージする人が多く、西日本では青ねぎを指す場合が多いのです。
青ねぎは、白い部分も含めて根っこ以外のすべてを食べますが、白ねぎは地中に埋まっていた白い部分を主に食べ、緑の部分はそのまま食べるというより、肉を煮込む際の臭み消しなどによく使われます。
栄養学的に見ると青ねぎは緑黄色野菜、白ねぎは淡色野菜なので、カロテン、ビタビン、カルシウム、鉄分などは青ねぎのほうが圧倒的に豊富。匂いの成分であるアリシンだけは、白ねぎのほうに多く含まれます。
ねぎの匂いはいつまでも残るのでニガテという人も多いですが、アリシンには薬効も豊かなので、上手に調理して味わいましょう。
「西の青ねぎ、東の白ねぎ」という食文化が定着していた時代に比べ、現代ではどこに住んでいてもさまざまなねぎが入手できるようになっています。せっかくですから個々の特徴を生かして、料理に合わせて使い分けたいものです。
白ねぎは生のままだと辛みや匂いが目立ちますが、火を通すことでやわらかくなって甘みが増すため、煮込みや焼き鳥などに最適です。主な種類として、「深谷ねぎ」「千住ねぎ」などが知られています。青ねぎは葉肉が長細くてやわらかく、香りもいいので、炒め物や薬味、お好み焼きなどに幅広く活用できます。代表的な品種は「九条ねぎ」。「九条ねぎ」は京都の九条が主産地でしたが、今では西日本で広く栽培されています。「万能ねぎ」も青ねぎですが、じつはこの「万能ねぎ」は登録商標で、福岡県のJA筑前あさくらで生産された「博多万能ねぎ」のこと。「万能ねぎ」はとくに東京方面で人気があり、ほとんど毎日のように空輸されているので「空飛ぶねぎ」などとも呼ばれています。
「わけぎ」や「あさつき」も青ねぎと似ていますが(とくに関東ではあまり栽培されないので混同されがち)、この3つは違う品種です。「わけぎ」はねぎと玉ねぎの交配種で、「あさつき」はエゾネギの一変種。いずれもねぎと違って種をつくらず、球根で増えていきます。見た目でいうと、「わけぎ」は根元に球根の名残のような丸い部分があり、「あさつき」は「わけぎ」よりさらに細い形状です。味のほうは、「わけぎ」は加熱することで甘みが増すので和え物などによく使われます。「わけぎのぬた和え」などは有名ですね。「あさつき」は香りがよく辛みも強いので、薬味にもってこいです。
また、味自慢の“ブランドねぎ”の代表格として知られるのは群馬県下仁田町の特産品、「下仁田ねぎ」です。ほかの品種に比べて丈が短めで太く、生では辛みが非常に強いので薬味には向きませんが、加熱するとまろやかな甘みが生まれ、なめらかでとろとろっとしたやわらかい食感になり、煮ても焼いても美味。このおいしさを求めて下仁田以外でも生産が試みられましたが、いずれの地域でも下仁田産と同じ品質のものはつくれなかったため、現在でも主産地は下仁田町のみです。ねぎの風味や味わいが土壌や気候の影響を強く受けていることがよくわかるエピソードですね。
野菜は必要な分だけを買ってその都度使い切るのが一番ですが、それが難しい場合もありますよね。白ねぎを保存する際は、野菜用保存袋や乾いた新聞紙に包んで冷蔵庫へ入れます。冬ならベランダなどの冷暗所に、新聞紙に包んで縦にして置いておくだけでも大丈夫。
根付きのものなら相当長く保存できます。新聞紙が湿るとそこから傷みやすくなるので、湿ったらすぐに乾いた新聞紙に交換しましょう。使いやすい長さにカットしてから保存してもOK(長く保存する場合は冷凍保存も可能です)。
一方の青ねぎは水で湿らせた新聞紙に包んで冷蔵すると日持ちがよくなりますが、なるべく早く使い切りましょう。保存する場合は小口切りやみじん切りにして冷凍用保存袋に入れ、冷凍するのがおすすめ。薬味が必要なときすぐに使えて便利です。水気があるとくっついてしまうので、水気をしっかり切ってから冷凍します。使うときは解凍せず、冷凍のまま使いましょう。
2019.07.08 20:13 | |
2019.07.26 15:42 | |
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