大人も子どもも楽しく勉強になる "かるた" の魅力

大人も子どもも楽しく勉強になる "かるた" の魅力

年末年始に家族や親戚が集まったとき、みんなでゲームを楽しむことでコミュニケーションが生まれますよね。「かるた」もそのひとつですが、大人も子どもも世代を超えて楽しめる、日本の言葉や文化を遊びながら学べるかるたが数多くあることをご存じでしょうか。

今回は、東京・神保町にある創業百余年の老舗「奥野かるた店」の奥野誠子社長にお話をお聞きし、おすすめのかるたを教えていただきました。

かるたの魅力は、小さな札に描かれた絵を見て言葉が一目瞭然でわかること。これが、言葉を覚えるのに役立つといいます。

「かるたは、言葉を発して、耳で聞いて、目で見て、体を動かして札を取る、といったさまざまな感覚を使いますよね。これを何回もやることによって、言葉が頭のなかに入っていきます。最初は意味がわからなくても、後で『あれはどういう意味なんだろう?』と調べて理解する。かるたは、子どもに言葉を覚えさせるにはとてもいい道具だと思います」

かるたは、16世紀半ばに鉄砲やキリスト教とともにポルトガルから入ってきた「CARTA(カルタ)」(=ポルトガル語でカード、紙製の板、手紙の意味)に由来します。

犬棒かるた

江戸時代中期に上方(近畿地方)で生まれたのが「京いろはかるた」。「一寸先は闇」から始まります。上方ならではのブラックユーモアが効いたことわざが多いのが、特徴のひとつです。

その後、江戸で生まれたのが「江戸いろはかるた」。「犬もあるけば棒にあたる」で始まることから、「犬棒かるた」とも呼ばれています。

こちらは昭和30年代からのロングセラーの犬棒かるたで、レトロな雰囲気が懐かしくも新鮮です。読み札には、ことわざの横に意味が書いてあるので、遊びながら意味も覚えられます。

「ことわざの意味は、お子さんにも知っておいてほしいですよね。同じ犬棒かるた(江戸いろはかるた)でも、犬も歩けば棒にあたるの犬の表情が悲しそうなもの、嬉しそうなものなど、いろいろあります。今のお子さんには、トイプードルやチワワなど人気の子犬の絵のほうが親しみやすいかもしれませんね」

名台詞かるた

次にご紹介するのは、NHK Eテレ「にほんごであそぼ」から生まれたシリーズのなかから、齋藤孝さんが選んだ「思わず言いたくなる名台詞50種類」を集めた「名台詞かるた」です。

名台詞かるた

「ごん、お前だったのか」(童話『ごんぎつね』より)、「これが生だったのか ならば よし もういちど!」(ニーチェ『ツァラトゥストラ』より)などの名台詞は、聞いたことがあるけれども「何だったっけ?」というものが多く、大人でも難しいかもしれません。

「齋藤孝さんは、お子さんにとって難しいものでもどんどん覚えて、あとで意味や理屈がわかればいいという考え方なので、大人も一緒に勉強できますよね」

このかるたは「上の句札」と「下の句札」があり、百人一首のように上の句を読んで下の句をとる遊び方や、絵合わせゲームとしても楽しめます。

木版画 なつかしの歌かるた

続いては、「木版画 なつかしの歌かるた」です。「NHK日本のうたふるさとのうた100曲」から選んだ歌を中心に、唱歌・童謡・叙情歌をかるたで楽しめます。温かみのある木版画の絵札がとても素敵で、絵を見て楽しむ、飾って楽しむにもよさそうです。

木版画 なつかしの歌かるた

「チューリップ」「思い出のアルバム」「茶摘み」などの歌のなかには、若い世代にも知っておいてほしい言葉がたくさん入っており、日本の文化を知ることができます。

「60代以降の方は、ほとんど歌えるという方が多いですね。大人同士で歌いながら楽しむこともできますし、子どもに歌って教えることもできます」

落語でカルタ~切り絵だよ~

続いてご紹介するのは、「落語でカルタ~切り絵だよ~」。その名の通り、落語の名句がかるたになっていて、切り絵の美しさも魅力です。

落語でカルタ~切り絵だよ~

「また夢になるといけねえ(芝浜)」、「鼠の腰が抜けました(ねずみ)」「お茶が一杯こわい(まんじゅうこわい)」など、有名な名句がずらり。自分が好きな落語家の粋な話し方を思い浮かべながら、楽しめます。落語好きな方へのプレゼントにもおすすめです。

ことわざ漢字カルタ

最後にご紹介するのは、丸型のかわいい「ことわざ漢字カルタ」。ことわざに出てくる漢字の一部が文字絵にアレンジされています。「まないたの鯉」「歴史は繰り返す」など絵を見てピンとくるものも多く、かるた取り以外に絵札を見てことわざを連想するクイズも楽しめます。

英語と日本語の両方から覚えることができる「和英」版もあり、日本語では「蛙の子は蛙」を和英版では「wolf」の文字絵で表しています。読み札には英語も書いてあるので、英語に親しむかるたとしておすすめです。

さまざまな言葉を楽しく学べるかるた、いかがでしたでしょうか。いろいろなかるたで、いろいろな楽しみ方をしてほしいと奥野さんは言います。

「自分でオリジナルをつくって楽しめる『無地かるた』もおすすめです。サッカーが好きだったらサッカーかるたをつくるとか、自分の好きなもの、みんなに知ってほしいものをかるたにするのもいいですね」

難しい言葉や知らない句、名言などがあり、かるたは大人も学べるものが多いことを改めて知りました。年末年始のお休みに、家族や友達と楽しんでみてはいかがでしょうか。

2023.12.07 19:41
2023.12.07 19:43
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