エコな取り組みから生まれたアイデア商品

エコな取り組みから生まれたアイデア商品

省エネや節水、ゴミの削減、大量消費の見直し、環境保全活動など、地球・環境にやさしいエコ活動は現代の大きな課題です。マイボトルやマイ箸、エコバッグ、リサイクルなど、身近なエコを実践している人も多いですよね。

そこで今回は、エコな取り組みから生まれた魅力ある商品をご紹介します。それぞれの商品には、捨てられてしまうものや環境問題をどうにかしたいという想いと、開発までのストーリーがあります。商品を通して、エコを考えるきっかけにもつながるのではないかと思います。

Food Paper

ひとつめは、福井県の伝統工芸品・越前和紙の老舗工房、五十嵐製紙が手掛ける「Food Paper」。県内の食品加工工場などで廃棄される野菜や果物を活用したアップサイクルプロダクトで、さまざまな紙文具がつくられています。

こちらはB5サイズのノート。現在はタマネギ・ジャガイモ・ニンジン・みかんの4種類で、季節ごとのラインナップもあり、野菜や果物の質感や風合いが魅力です。

和紙の原料である楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)などの植物の収穫量は激減しており、原料に危機感を持っていたといいます。そんなとき、五十嵐家の次男・優翔さんが小学4年から5年間に渡り、食べ物から紙をつくる自由研究をしていて、その研究成果を伝統工芸士のお母さんが受け継ぎ、和紙漉きの技法を用いてFood Paperを完成させました。

捨てられる野菜や果物を使い、伝統的な技法で新たな商品を生み出し、フードロス問題を学ぶツールにもなる。キーワードは「持続可能×伝統×教育」だといいます。

こちらは、紙の強度や耐水性を高めるために、天然素材のこんにゃく糊を揉み込んだサコッシュ。できる限り自然のものを使うことにこだわった一品です。

Food Paperではオーダーの紙づくりも行っていて、その土地で採れたぶどうを使った紙をワインラベルにすることや、カレンダー・名刺・お店の包装紙など、アイデア次第でエコ&おしゃれなものができそうです。

延岡メンマ

続いては、宮崎県延岡市でつくられている「延岡メンマ」。山林が面積の80%を占める延岡市の問題のひとつが、整備されていない放置竹林。木々の生長を妨げることや、地滑りの原因になるなどの竹害が発生しているといいます。この地で生まれた江原太郎さんは、実家の周りの山にあった放置竹林を見て、「この竹をメンマにして竹害を食い止める」と考えました。

ラーメンなどに入っているメンマのほとんどは台湾や中国の麻竹(マチク)を使ったものですが、延岡市に生息する孟宗竹(モウソウチク)を使った国産100%メンマは希少な一品です。

社会貢献につながるこの活動を続けるために行ったのは、「自分たちが本気でおいしいと思える味を追求する」こと。延岡でつくられている味噌や唐辛子を使い、ピリ辛のメンマが誕生。日本の食卓で多く食べてもらうために、ご飯、パスタ、パンに合うような味付けを考えたといいます。

そして、延岡メンマを広めるために、江原さんは「最高の食べ方」を提案。クリーミーなソースにピリ辛のメンマと食感がアクセントの「メンマカルボナーラ」や、「メンマ丼」「メンマトースト」をホームページやパンフレットで紹介し、インスタグラムでは新たなレシピや口コミレシピも投稿されています。

また、宮崎県内の一部の学校給食にも延岡メンマが提供されており、子どもたちに放置竹林問題の話をする活動も行っているそうです。

磐城高箸

続いては、福島県いわき市で、地元の間伐材を活用した割り箸などを製造販売する「磐城高箸」。2010年8月に会社を設立するも半年後に東日本大震災が起こり工場が被災。しかし、外部からの支援を得て再び立ち上がりました。

震災後に製作したのが、岩手県・宮城県・福島県の杉間伐材を使った割り箸。東北の復興を願い、「希望のかけ箸」と名付けられました。

割り箸は300年以上の歴史を持つ日本発祥の伝統産業ですが、価格の問題で多くは中国産です。使い捨て・安価と思いがちですが、代表の高橋正行さんは、品質にこだわり、ゴミは一切出さず、乾燥工程で石油系の燃料を使わないエコな割り箸を製造。間伐材の有効活用で、森林の再生・環境の改善につながる取り組みを行っています。

こちらは、天然の磐城杉のチップを使った「眠り杉枕」。リラックス効果が期待できる香り成分・セドロールと、クッション性の良い寝心地で、森林浴をしているかのようななかで心地よい眠りをサポートしてくれるそうです。

この枕に使われているのは、磐城杉の強度検査で弾かれた(=柔らかい)割り箸をチップにしたもの。スギ花粉は含まれていないので、安心して使えます。

こちらは、磐城高箸といわきの蔵元・四家酒造店が共同開発した「ちゅ~ちゅ~又兵衛 瞬酔(しゅんすい)」。福島県産チヨニシキから醸される「又兵衛純米酒いわき郷」が、いわき産ひのきを使った枡とストローを通しておいしく味わえると話題を呼んでいます(「いわきの逸品」サイトのみで販売中)。

おやさいクレヨン

次にご紹介するのは、青森県のmizuiroが企画・製作している「おやさいクレヨン」。グラフィックデザイナーの仕事と子育てを両立する代表の木村七保子さんが、夕飯の支度中に「野菜の色で絵を描いたらおいしそう」と思い、青森県産の野菜などを使った「おやさいクレヨン」の開発を考えたそうです。

長イモ、ゴボウ、ニンジンをはじめ、規格外などで廃棄される野菜のリサイクルから生まれた全10色。原料は、国産の米ぬかから採れる米油とライスワックス、野菜や果物のパウダー、顔料は食品の着色に使われるのと同等なものを中心に使っているので、安全性が高いと評判です。

目を離せない小さなお子さまでも安心して使える、という声がとても多いそう。また、野菜の色を感じ、匂いを嗅いでみるなど、食育の入口として活用する人もいるといいます。

米ぬかをアップサイクルしてつくられた「おこめのクレヨン」。おやさいクレヨンに比べて赤や青など鮮やかな発色で、色数も豊富です。

こちらは、一部廃棄される花を活用した「おはなのクレヨン」。バラやハイビスカスなど本物の花の色合いで、大人も使いたくなる素敵なクレヨンです。

出産祝いや進級祝い、誕生日やクリスマスにお孫さんにプレゼントする方がとても多く、幼稚園や保育園で使用しているところもあるそうです。お絵描きを楽しみながら、このクレヨンがどうやってできているかを知り、「"もったいない精神"を身につけてもらえたら」と木村さんはいいます。

2022.07.15 15:08
2022.07.15 15:09
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