歳を重ねても美しい肌を保つ~皮膚の手入れは健康のセルフケア

いつまでも美しくありたいと思うのが女性の願い。道を歩く70歳代の女性の肌が美しくて思わずはっとした、なんていうことはありませんか?

この女性、どうやって肌の美しさを保っているのでしょうか?

最近はシニア層向けの化粧品がドラッグストアなどでもよく売られていますが、化粧品だけで肌は美しくなるのでしょうか?

私たちが「肌」と呼んでいるのは「皮膚」のことです。まずは、皮膚の働きをおさえておきましょう。

皮膚の働きとは

私たちの身体を覆っている皮膚の第一の役割は、ヒトの生体防御機能です。外部との境界となって、細菌やウイルスの侵入を阻止します。外部から皮膚にかかる負荷が強いと、皮膚の角層は厚くなります。これは環境変化に対応しているためで、例えば、手をよく使う農家の方や、裸足で作業をする方の手や足の角層が厚くなるのはこのためです。

また、皮膚には免疫機能という重要な役割もあります。転んで膝に擦り傷を負ったり、包丁で指先を傷つけたりするなど、何かのはずみで皮膚を傷つけると、異常を脳に伝え、全身の免疫系に働きかけ、生体を守るのです。

次に、皮膚には触覚(触る)、圧覚(押される、つねられる)、痛覚(痛み、辛味成分や酸の痛み)、温覚(熱い)、冷覚(冷たい)を感知する多数の受容器があり、皮膚自身に神経細胞と同じように刺激に応じる能力があります。熱湯に手が触れ「あっち!」と手を振り上げるしぐさは、脳に伝わる神経細胞より皮膚が早く応対しているのです。

難しい言葉ですが、ヒトがもつ重要な性質として「恒常性」があります。これは、ヒトの内部環境を本来あるべき状態に一定に保つ性質のことです。皮膚は、気温や湿度、紫外線などの外部環境の刺激に対して、ヒトの内部の機能が一定になるように働くセンサーを持っているのです。

高齢者の皮膚

歳を重ねていくと、ヒトの細胞内の水分を保持する能力が衰えてきます。さらに皮脂の分泌機能も衰えるため、高齢者の皮膚は乾燥し、生体防御機能が低下します。

そのため、わずかな刺激でも皮膚が傷つき、感染症をおこしやすくなります。その上、皮膚が乾燥すると痒くなるため、引っ掻くことによりさらに皮膚の炎症が進み、湿疹、水ぶくれなどの症状も招きかねません。

また、熱さ、冷たさを感じるまでに時間がかかるようになりますので、火傷をしやすくなったり、寒さ暑さを感じにくくなったりします。

高齢者の場合、外見上は健康であっても、社会との関わりが希薄になることで、肌の手入れに無頓着になる傾向があります。皮膚が清潔に保たれないと感染症にかかる危険性が増しますので、皮膚の手入れを怠らないことが重要なのです。

スキンケアは健康につながる

皮膚を清潔に保つお手入れやマッサージなどのスキンケアにより、血液循環がよくなり、体温調節や汗・皮脂の分泌バランスが整い、健康な皮膚を維持することができます。皮膚が健康でいることで生体防御機能に働きかけ、細菌による感染を防ぎ、筋肉の疲労や緊張、委縮を緩和し、関節の拘縮を防ぎます。

そして、スキンケアは、気分をさわやかにし、意欲も高め、円滑な社会生活が営めるようになるという点においても、とても大切です。

スキンケアの方法~基本は、やさしく、やさしく、触れる

入浴、シャワー浴、体を拭く(清拭)などの方法で、身体を清潔に保ちます。空腹時、食後1時間以内は避けて行いましょう。また、温かいお湯を使いますので、汗をかきます。事前に水分を飲んでおきましょう。

注意点として、心地よい効果がある反面、身体に負荷を掛けます。全身衰弱の場合や、心臓、脳血管、肝臓に病気がある、風邪気味の場合などは、身体の急激な変化、病気の悪化、再発を起こしてしまうことがありますので、回数や時間帯を医師に相談しましょう。また、体温や血圧を測り、入浴前に身体の状態を把握する必要があります。無理はしないようにしましょう。

入浴、シャワー浴
脱衣室、浴室を22℃~25℃、湯温38℃~40℃程度に調整をしておきます。浴室は滑りやすいので、滑り止めのマット、手すり、シャワーチェアーを用意しておくことをお勧めします。掛け湯は、足から徐々に体の中心(体幹)に向けて掛けていきます。急に肩から掛けないようにしましょう。
体を拭く(清拭)
お湯の温度は50℃~55℃程度の熱めのお湯を用意し行います。石鹸は弱酸性のものが望ましいです。石鹸を使いすぎると皮膚を守る皮脂が減少し、乾燥の原因になります。また、ごしごし洗うと皮膚を傷つけてしまうので注意しましょう。
身体を清潔にした後は、その方にあったローション、乳液、クリームで皮膚を保護し、セルフケアに努めましょう。

歳を重ねても美しく

皮膚を健康に保つことが全身の健康につながります。いつまでも健康で美しくあるために、ぜひスキンケアを大切にしてください。皮膚の手入れは、心と体のリフレッシュ、健康のセルフケアです。

また、『肌合い・肌質』には心の内面が現れます。ヒトの心を外から感じることができます。好きな方にやさしく触れられて肌が紅潮したり、嫌いなものには鳥肌が立ったりという経験は誰しもあるでしょう。ヒトの心を外から感じることができます。

皮膚の手入れだけでなく、お化粧、髪型、髭の手入れ、ネイル、自分に合った好みの洋服などを楽しんで、胸を張って街に出ましょう。山や川、海を楽しみましょう。


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