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「ポップアップの革命」「紙の魔術師」などと称されるアーティスト、ロバート・サブダのPop-Up Book〔飛び出す絵本〕を紹介します。
不思議の国のアリスやオズの魔法使い、美女と野獣、ピーターパンなど、誰もが知っている名作を迫力満点のポップアップとして仕上げた絵本が有名ですが、サブダオリジナルの作品が、これまたステキなのです。
たとえばこちらは『Cookie Count』。1から10の数字に合わせて、ネズミのシェフがお菓子を作る物語です。
写真は、クッキーとキャンディで作るステンドグラスクッキー。「6」のページなので、6枚のおいしそうなクッキーが飛び出します。
ネズミシェフもクッキーの枚数と同じだけ登場するので、このページには6匹のネズミが隠れています。
上から見たり裏からのぞいたり、いろんな角度から眺めるのです。
ほかにもチョコチップクッキーやココナッツクッキーなど、見ているだけで甘~い香りがしてきそうな楽しいページが続きます。
どのページもステキなのですが、ラストのお菓子の家は圧巻!窓の中にもネズミたちが隠れていて、ついのぞきこんでしまいます。
精密で独創的な構成と、シンプルな単語で生み出される世界観は子どもだけでなく大人も夢中になってしまうこと間違いなし。
お菓子作りが好きな女性へのプレゼントにもおすすめです。
そしてこちらは『Winter's Tale』。
ラメや泊でキラキラした白い世界は、ため息が出るほどのすばらしさ。飛び出す絵本そのものは日本でも昔からおなじみですが、サブダの作品は単に絵が立体的になるだけ、ではありません。
ひとつひとつのページに物語性やユーモアがあり、ページをめくるたびに「うわー!」と感嘆してしまいます。これほど美しいと思える本に出会えた事に感謝したくなったくらいです。
Winter's Taleは、雪景色に包まれた動物たちの日常の営みを洗練された簡潔な筆致で淡々と描いた物語。
大きな事件はとくに何も起こりません。でもだからこそ、静寂の銀世界に輝く冬の一コマが、誰の心にもすーっと入り込むのかもしれません。子ども以上に、大人の心に染みわたる作品といえるかも。
ラストには、この本に出てきた動物たちがすべて登場します。驚くほど繊細な細工で、ダイナミックに仕上がったこのページ。
でも、驚きのしかけは、これだけでは終わりません。小さな白い家の手前にある青い矢印をひっぱると...
小さな家に、ランプが点灯するのです!なんと夢のある結末!!このページを見ると思わず拍手をしてしまいます。
ちなみに電池は裏表紙から替えられるようになっています。
私は原書(英語版)を買いましたが、日本語版も出ています。小さい子へのプレゼントには日本語版がおすすめですが、大人が眺めるのなら原書を選択するのもよいのではないでしょうか。
とくにWinter's Taleはサブダの数ある作品の中でも大人向けで、詩のような言い回しが美しく、静かな味わいがあるのです。これが日本語版になると、子ども向けの翻訳がされているせいか、少々子どもっぽい印象を受けます。英語そのものはとても簡潔ですし、原書通りの世界観を堪能したい方はぜひ原書を手にしてみてください。
じつは、わが家にはCookie CountとWinter's Taleが2冊ずつあります。
もともとは、自分たちが見たくて1冊ずつ持っていたのですが、子どもが生まれると、やっぱりちゃんと見せてやりたいと思いました。1歳になる前から「そーっとね、そーっとね」と言い聞かせていたところ小さくても「これは普通の絵本とは違うんだ」というのがわかったのか、2歳になった頃は一人で見せていても壊す心配がないくらいそーっとそーっと、大切に扱ってくれるようになりました。
それでも、好きなページは何度も何度も開いて見たがるので、さすがに「経年変化」があらわれてきて......。そこで、最初に買った1冊は息子用ということにして自由に見せて、もう1冊は私たちのストックとすることに。そのくらい大切に、手元に置いて何度も眺めたくなる絵本なのです。
サブダの絵本はどれを見ても、満足できるしかけがたっぷり。恐竜や絶滅した獣、神々の神話などを題材にしたエンサイクロペディア(百科事典)のシリーズなども迫力満点です。お好きな作品を選んでみてくださいね!
2021.07.16 11:45 | |
2021.07.16 11:46 | |
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