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人が人生の時間のうちに睡眠に費やす時間は、どのくらいかご存じですか。
睡眠は、実に人生の3分の1を費やします。良質な睡眠への関心が高まるのもうなずけます。最近では、眠りの質を高めると表示されているマットや、オーダーメイドの枕を販売する枕専門店もよく見るようになりました。多くの方が寝具にこだわるのも生活の質に影響を与えるからです。
しかし、ご自身の身体に合った寝具を購入して喜ばれる方の姿を見る一方で、訪問販売で高額な羽毛布団を購入したものの、それまでお使いの寝具と変わらないと嘆いているご高齢者からのご相談もあるのが実情です。
では、なぜ人は夜になると眠くなり、朝になると目が覚めるのでしょうか。基本的な睡眠のメカニズムについて説明をします。
ヒトは、夜眠り朝起きるという睡眠・覚醒リズムを持っています。これを「およそ1日のリズム」(circadianrhythm)と云います。同じように「およそ1日のリズム」を持つのが、体温、血圧、自律神経、ホルモン分泌等です。
なぜ「1日」ではなく「およそ1日」なのでしょうか。
実は、ヒトの睡眠・覚醒リズムは24時間ではありません。それを、1日の時間(地球の自転)に合わせて毎日24時間にリセットしているのです。では、どのようにリセットしているのでしょうか。
体温や血圧、睡眠・覚醒パターンのリズムは、脳からの全身に伝えられる信号によって調整されています。この信号は、毎日同じ時間帯に食事をとり、学校や仕事に行き、定期的な運動をするなどの行動情報が、脳の視床下部視交叉上核に伝えられることによって出されます。つまり、日々の生活習慣で24時間の睡眠・覚醒リズムになるようにリセットしているというわけです。
皆様のなかに海外に行き時差ボケを経験された方は多いと思います。時差ボケは、睡眠・覚醒リズムとその地域の生活時間のズレにより心身の機能が一時的に不調和により起こるもので、修正するのに2~3日かかるといわれています。
人は、ホルモン分泌によって身体機能を調整していますが、眠りを誘う作用があるホルモンがメラトニンです。メラトニンは、脳の松果体で生まれ(生合成)、体内に分泌されるホルモンで、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。
メラトニンは、光を浴びることで生まれ(生合成)、夕方から分泌が始まり、眠くなります。しかし、光によって分泌が抑えられるという特性があるため、夜間に強い照明の中にいるとメラトニンの分泌が抑えられて、うまく機能しません。
つまり、日中は外の光を浴びて、夜間の光を抑えることで、メラトニンが役割を果たすのです。
ヒトの睡眠は、レム睡眠(rapid eye movementsleep)と、ノンレム睡眠(non-rapid eye Moventsleep)で組み立てられています。
です。眠りに入ると、まずはノンレム睡眠(=脳の休息)が始まり、より眠りの深い睡眠状態に移ります。このノンレム睡眠をしっかり確保することが大切です。
なぜなら、眠り始めのノンレム睡眠時に「身体の休息」に必要なホルモンが作られるからです。
健康維持に欠かせない睡眠ですが、睡眠障害に悩む方も多く、厚生省では睡眠障害対策12の指針を出しています。睡眠・覚醒リズムの維持・管理がわかりやすい指針になっていますのでご紹介いたします。
- 睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
- 昼寝をするなら15時前の20~30分
- 眠くなってから床に就く、就寝時刻にこだわりすぎない
- 同じ時刻に毎日起床
- 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起き
- 刺激物は避け、寝る前には、自分なりのリラックス法
- 規則正しい3度の食事と、規則的な運動習慣
- 睡眠薬代わりの寝酒はかえって不眠のもと
- 睡眠中の激しいイビキ、呼吸停止や足のびくつき、むずむず感は要注意
- 十分眠っても眠気が強いときは専門医に
- 光の利用で良い睡眠
- 睡眠薬は、医師の指示で正しく使えば安全
厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費
睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班
平成13年度研究報告書より
2019.05.27 17:14 | |
2019.07.26 15:00 | |
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