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「スマート・エイジング」という言葉を聞いたことはありますか?これは、アンチ・エイジングに代わる新しい考え方として、東北大学が2006年から提唱している言葉です。
そもそもアンチ・エイジングとはどういう意味でしょうか。
「若返り」などと訳されていることも多いのですが、エイジング=ageingとは「年をとっていく、歳を加えていく」、つまり加齢を意味し、アンチ=antiは英語で否定を意味しますので、アンチ・エイジングとは加齢に抗うという意味になります。
いつまでも若々しく見られたい、できるだけ長生きしたいという気持ちは老若男女すべてに共通していると思いますが、実際の年齢に逆らうことはできません。
人は必ず歳をとりますが、歳をとるのがいいことなのか、悪いことなのかを決めるのは、自分自身です。それであれば、賢く歳をとっていくことを考えて、その中で成長していこうというのが「スマート・エイジング」の考え方です。
世阿弥が記した書物に「時分の花」「まことの花」という言葉があります。「時分の花」とは、若い生命が持つ鮮やかで魅力的な花のことで、誰にでも備わっているものです。一方「まことの花」とは、芸を磨く精進をした者だけが咲かせることができる花で、自分という木が枯れていくとしても生涯失われることがないもののことです。
歳をとってもなんとかして「時分の花」を咲かせようとするのがアンチ・エイジングであるならば、スマート・エイジングとは「まことの花」を咲かせようとすることです。加齢や老化を否定的にとらえるよりも賢く対処していくほうが、前向きで楽しい考え方ではないでしょうか。
スマート・エイジングを実践するためには、元気に活動できることが必然となりますが、ここで注目したいのが「健康寿命」です。
と定義づけられており、寝たきりや認知症にならずに自立した生活ができる期間のことです。
今や世界一の長寿国となった日本ですが、平均寿命と健康寿命の差が少なければ少ないほど、亡くなる直前まで健康に過ごしていたということになります。
では、日本の平均寿命と健康寿命の差はどのくらいあるのでしょうか。厚生労働省によると、2016年における日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳、健康寿命は男性が72.14歳、女性が74.79歳となっており、平均寿命と健康寿命の差は、男性8.84年、女性12.35年でした。
つまり、平均すると9年~12年もの長い間、支援や介護を必要とするなど健康上の問題で日常生活が制限されているということなのです。
健康寿命の延伸が叫ばれるようになり、少しずつこの差が縮まっている傾向にはありますが、「スマート・エイジング」な生き方をするためには、少しでも健康寿命を延ばすことが必要となります。健やかな生活習慣をつけ、病気の予防や重症化の予防、介護予防を心がけることが大切です。
第一線を退いたあとにも長い人生が続きます。後半の人生をどう生きるのか、主体的に選んで、いきいきと、成長し続ける、そんな歳のとり方をしたいものです。
2021.06.25 16:26 | |
2021.06.25 16:27 | |
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