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醤油や味噌と同様になじみ深い「みりん」ですが、そのすばらしい長所や、おいしさを引き出す使い方は意外と知られていません。もしかしたら「みりん風調味料」を「本みりん」だと思って使っている人も多いかも?
「ツヤや照りを出したい」という目的だけならみりん風調味料でOKですが、本みりんは料理の旨みやコクを増し、さらにはスイーツに使っても、そのまま飲用してもよし。多様な魅力があるのです!
わが家の「本みりん」はこんなラインナップ。左の三河味醂はすでにかなり使っています。
本みりんの原料は「もち米、米麹、焼酎などのアルコール」。これらを長時間かけて丁寧に糖化・熟成させ、14%前後のアルコールが含まれます。
和え物や酢の物など非加熱調理に使うときは「煮切りみりん」にしてアルコールを飛ばせば大丈夫。煮切ることで「トロッと濃厚なのにすっきりとした甘味」や「独特の香ばしさ」がさらに増します。煮切りみりんをそのままシロップとして愛用する人も多いのです!
一方の「みりん風調味料」はブドウ糖や水飴などの糖類、うまみ調味料・香料などが添加され、短期間で完成。アルコール度数は1%未満です。
本みりんは優秀な調味料であるばかりか、そのまま飲んでもおいしい「お酒」です。
そもそもみりんの歴史を紐解くと、江戸時代初期に「甘く美味な酒」「夏バテ防止などの薬用酒」として重宝され、中期から後期にかけて「みりんと醤油の相性のよさ」が広まって、蒲焼きのタレやそばつゆなどの調味料としても活用されるようになったといいます。
ツヤッとした照り感は間違いなく食欲をそそりますが、本みりんならそうした「照り・ツヤ」に加え、「コク・旨みを引き出す」「生臭みを消す」「上品でまろやかな甘味を与える」などさまざまな効能が。醤油、味噌、酢などの醸造調味料と好相性なのも特長です。自然派の調味料として、料理の腕前をきっと上げてくれるはず!
ちなみに「みりん風調味料」が登場したのは昭和20年代。安価だったこともあり、調味料としては「本みりん」を抜く主力商品となりましたが、その影響で本来の「本みりん」の魅力を知らない人が増えてきたのかもしれません。
たとえば、わが家でよくつくるのはフルーツのキャラメリゼ。バナナやパイナップル、リンゴなどにグラニュー糖と本みりんを加えて混ぜ合わせ(甘味の強いバナナなら本みりんだけでも十分)、バターを溶かしたフライパンで焦げ目がつくまで焼くだけです。
このまま食べたりヨーグルトやアイスクリームに合わせるほか「本みりんとマスカルポーネのムース」のトッピングにすることも。
このムースのレシピは、イタリアの「ロマノフ」というデザートをアレンジしたもの。ロマノフというのは、おなじみ「ティラミス」のクリーム部分だけをそのままデザートにした感じ、といえばわかりやすいでしょうか。普通はラム酒で香り付けしますが、ここでは本みりんを活用。
本みりん独特の芳香がふわっと香り、マスカルポーネチーズとの相性も抜群。しかもラム酒より安価なので「お菓子づくりのためだけにラム酒を買うのはちょっと」という人でも「本みりんなら料理にもお菓子にも日々使える!」という点で、よりおすすめです◎
チーズとの相性がよかったので、チーズケーキにも使ってみました。
生地自体に煮切りみりんで甘味とコクをつけたほか、中のリンゴも本みりんをたっぷり使ってやわらかく甘く煮てあります。表面のクランブルは米粉と本みりんとココナッツオイルでつくっていますが、これまた本みりんのよさがしっかり活かされました。
なお「本みりん」のなかにも水飴を添加するなどして比較的短期間につくられるものと、伝統的製法の本格仕込みがあります。アルコール度数はいずれも同程度ですが、旨みや甘味にはやはり違いがあるので、さまざまな「本みりん」のなかから好みを探してみるのもおすすめです。
江戸時代にはみりんに焼酎を加えた「本直し(もしくは直し)」と呼ばれる飲み物が流行し、夏場には井戸水などで冷やして冷酒として楽しまれたそうです。じつは、わが家の夫はこの「本直し」が大好物!「うまい本みりんはラム酒にもひけを取らない。ラム酒より安いし、この甘味がなんともおいしい」と愛飲しています。
焼酎で割る「本直し」も試しましたが、焼酎のクセがどうしても前面に出てしまうので、本みりん自体の味わいを堪能したい方にはクセのないウォッカがおすすめ。本みりん+ウォッカ+たっぷりの氷で、じっくりゆっくり堪能してみてください。
2020.08.20 19:59 | |
2022.10.04 13:33 | |
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