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健康は足腰から! いま、健康長生きを目指す人の間で話題になっているのが足半草履(あしなかぞうり)です。
長さは土踏まずあたりまでで普通の草履の半分ほど。かかとの部分がありません。鼻緒の位置がかなり前寄りについており、足指で草履の淵をグリップするような形になるのが特徴。
これが私たち現代人が失った足の健康を取り戻すとして注目されているのです。
そもそも足半草履は古くから使われてきた伝統的な履物。足さばきがよく滑らないことから合戦場で威力を発揮しました。鎌倉時代にはすでに用いられ、絵巻物「蒙古襲来絵詞」「春日権現霊験記」にも足半草履をつけた武士の姿が描かれています。
戦国時代には、あの織田信長も愛用。織田信長の一代記である「信長公記」にも足半草履に関する記述があります。
それによると、信長は普段から腰に足半草履を下げており、合戦場で敵を討ち取ったものの山中をめぐるうち裸足となって参上した武将に、腰の足半草履を「今こそ、これが役に立つ時だ」と下げ与えたとか。この足半草履は武将の家に代々伝えられ、現在は名古屋市内の秀吉清正記念館に寄贈され展示されています。
時代は下って江戸時代のころになると、農山漁村で作業用に用いられるように。江戸から京都までをわずか3日間で走破するほどの速さを誇った飛脚も用いていたと言います。明治時代に入ってからも戦後あたりまで日本人に愛されてきました。西郷隆盛もそのひとりで、上野にある銅像も足半草履を履いています。
ただ現在は長良川の鵜飼の履物として残るのみ。足半草履を見ることはすっかりなくなってしまいました。
明治時代に西洋靴が導入されてから150年。私たちの足は靴にがっちりガードされてきました。それは足を危険から守ることでしたが、足を靴に押し込めることでもありました。そこから生まれたのが外反母趾(がいはんぼし)や開帳足(かいちょうそく)などの足トラブル。
足半草履が日常的に用いられていた時代、足指で踏ん張りをきかせながら歩き走り働いていた日本人の足指は、靴を履くことですっかり働かなくなり力を失いました。その結果、足指が地面につかない浮き指になり、体の重心を正しく保つことができずに反り腰やストレートネックにおちいり、肩腰や腰痛、頭痛を発症するように。
また足が本来持っているはずのアーチ構造を失い、踏み出すためのバネ機能や足が着地するときのクッション機能、バランスよく歩行するための安定性を欠くことに。
そこで今、注目されているのが足半草履(あしながぞうり)です。スリッパ代わりに部屋履きとして履くことで足指の力と足のアーチ構造を取り戻して、しっかりとした体軸を獲得。姿勢の悪さを解消すれば、肩こりや腰痛、頭痛も和らぐはず。シニアにとって大問題の歩きにくさや転倒の心配もなくなります。
履くときに注意すべきは、かかとを上げずに真っすぐ下ろして床につけて歩くこと。かかとを上げて履くことを推奨するダイエットスリッパとは別モノです。
履きはじめは足裏が痛むなど筋肉痛が出るかもしれませんし、歩きづらいかもしれません。一気に長時間履き続けるなどの無理は禁物です。毎日5~10分ずつ、徐々に足に慣らしていきましょう。掃除機をかけるときだけ、食事を用意するときだけ、などと時間やタイミングを決めて履いてみるとよいでしょう。
ざまざまな作り手から、素材や色柄の足半草履が販売されています。足に馴染む一足を探して、健康な足腰を手に入れましょう。
2020.04.16 19:12 | |
2021.08.01 20:12 | |
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