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錫(スズ)の器で日本酒もビールももっとおいしく。錫製品の簡単なお手入れ方法も

錫(スズ)の器で日本酒もビールももっとおいしく。錫製品の簡単なお手入れ方法も

錫(Tin)

単体または合金の成分として古来広く用いられている、融点の低い金属材料。純錫(錫100%)と錫合金(本錫・ピューター)に大別され、特徴や用途も異なる。中世ヨーロッパでは錫を主成分とする合金(ピューター)が銀食器に次ぐ高級食器として扱われた。

融点が低く、やわらかいという特徴を持つ錫。白に近い銀色に輝く金属としても知られ、暮らしを彩る工芸品として古来、人々の生活に欠かせない役割を果たしてきました。銅と合わせて青銅がつくられたり、錫と鉛でハンダやリチウム電池がつくられたり、合金としてもさまざまな場面で活躍しています。

白銀に輝く錫製品。暮らしに寄り添うアイテムです

錫の茶筒

日本へは、もともと奈良時代後期に中国からお茶を輸入した際、茶壺や茶托として一緒に持ち込まれ、それを再現することから現在につながる錫製品の加工が始まったといわれています。お茶は酸化を嫌うため密閉できる容器が必要ですが、その点、錫は酸化や腐食に強く、加工もしやすい、さらに変形しない適度な硬さもあるため、茶道具としてふさわしい特性を備えていたわけです。茶道具だけでなく、その特性は、飲食用の器として広く重宝されました。

錫を原料とする製品は、錫100%の「純錫」と合金の「本錫」があります。錫はもともと空気中に存在する金属なので厳密にいえば完全な100%にはならないそうで、混じりけのない錫(純錫)でも99.9%などと表記されることも。錫特有の美しい色合いは純錫がやはり最も優れ、変色のしにくさもピカイチです。ただ、100%だと非常にやわらかいため、密閉性に優れたフタを必要とする容器など、精度の高い鋳造をともなう器には不向きです。それをカバーするのが、錫の割合97%程度の本錫といえます。つまり、純度100%のものだけがいいというわけでも、逆に低いほうが使いやすいというわけでもないので、純錫・本錫の製品であれば、あとは好みや用途に合わせて選べばよいのです。

ピューターのメダル

ちなみに、マレーシアの工芸品として知られるピューターは、本錫よりさらに錫の割合が低くなっています。工芸品や装飾品などに用いられることが多く、全米フィギュスケート選手権では4位の選手にピューターのメダルが授与されます。もちろん、マグカップやビアカップ、ウイスキーを入れるスキットルなど飲食に関わる器としても人気が高く、日本の錫製品とはまた趣の違う、表面の細かい装飾が特徴的です。

冷たい飲み物はもっと冷たくホットな飲み物はいつまでもホットに

錫製品の魅力のひとつは熱伝導率の高さ。つまり、冷たい飲み物を注ぐと器までが瞬時に冷えるのです。さらに、温度の持続能力も高いので、冷たい飲み物に最適といえます。たとえばビール。ビールのおいしさには「キンキンに冷えていること」と「クリーミーな泡立ち」が重要ですが、錫の器はすぐに冷えてその状態が長く保てるのはもちろん、泡立ちにも影響します。国内の6割以上のシェアを誇る大阪錫器の「シルキータンブラー」などは内側に槌目模様が施され、少しざらざらとした鋳肌に仕上げられているため、キメの細かい泡が立つのだとか。「まろやかな口当たりで、いつものビールが極上の一杯になる」と評判です。

ビールだけではありません。錫の器といえば、そう、日本酒です。冷酒は冷たくまろやかに味わえるし、ほどよくお燗をつければその温度を長く保ってくれます。皇室でも錫製の酒器が使われているそうですが、たたずまいの美しさといい使い勝手といい、使ってみれば納得できる特性が備わっています。また、お燗をつける道具「ちろり」も、錫製なら扱いやすいだけでなくデザインも美しいので、日本酒好きならいつかはほしいアイテムではないでしょうか。もちろん、昔ながら茶壺(茶筒)としてもおすすめ。密閉性が非常に高く、茶葉の鮮度や香りを逃しません。

アルミやステンレスは「いつまでも変わらない」ことが重視されますが、錫は「変わっていく」ことが魅力のひとつといえるかも。独特の色合いや風合いがあり、磨くと銀に似た美しい光沢も出てきます。やわらかいので、使っているうちにキズが付いたり風化したりもしていきますが、それも愛用してきた人の歴史。茶人は錫の茶壺に手の脂をつけて「育てる」といいます。そうやって使い込まれた錫はなんともいえない色合いになり、新品とはまた違う光沢を放っていくのです。

錫製品って扱いにくい?錫製品の簡単なお手入れ方法

錫製品の手入れ方法

ふだん使い慣れている陶磁器などと比べると「特別感」が強い錫製品。そのせいか、「手入れが大変そう」と思いがちですが、意外とそうでもないのです。

もちろん食洗機などには適しませんが、日常的に使用した後はほかの食器と同じようにスポンジと洗剤で洗っても大丈夫なのです。素材の特性上、長く使っているうちに少しずつ表面が曇ってきますが、それこそが錫の味わいだと感じる人もいます。

ただ「いつまでも輝きのある質感を保ちたい」という方は、定期的に濡れたガーゼに歯磨き粉などで磨くといいでしょう

2019.07.12 20:30
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