大人世代のライフスタイル提案メディア
鉢植えでグリーンを育てるのは、水やりや植え替えなど、少しばかり手間がかかる部分があるのは事実。でも、植物が成長する様子を間近で見られる喜びを思えば、そんな手間さえも楽しい作業に思えてくるものです。
そして、「鉢植えを楽しむ」ために大切なのは、まず、好きな植木鉢と好きな植物に出会うこと。「鉢なんて、何だっていいでしょ」と思われますか?いえいえ、そこにこだわることで、植物を育てる行為は、もっともっと楽しくなるのです。
たとえば、北欧のプロダクトデザイナーが手がけた、ヴィンテージのフラワーポットを買ってみる、というのはどうでしょう?上の写真は、世界的に有名なフィンランドの陶磁器メーカー、ARABIA社のデザイナー兼アートディレクターを務めていたRichard Lindh(リカルド・リンド)が、60年代にデザインしたポットです。
鉢なのにデザイナーズアイテムだなんて、悪くないですよね。
水受け皿とポットが一体化して見える、スマートなデザイン。Richard Lindhらしい黒いマットな釉薬とシンプルなフォルムがモダンな印象です。こういう鉢ならどこに置いてもマッチしそう。鉢の底には適度な大きさの水抜き穴もあり、機能性も申し分ありません。
このフラワーポットは1965年頃から製造され、その後、1985年頃まで長くつくり続けられる人気商品となりました。とはいえ、現在ではこれと同じ商品は生産されていないため、今、購入できるのは、70年代や80年代のヴィンテージだけ。
その証拠に、受け皿の裏にはスタンプで押されたARABIAの王冠マークが!ARABIAの現行製品はすべてプリントなので、手押しならではのかすれ具合も、センターから微妙にずれたバランスも、コレクター魂をくすぐる要因のひとつなのです。
こちらもRichard Lindhのフラワーポット。巷でよく見かけるのは、上の写真の黒いポットのように側面が垂直なタイプなので、この形はさらに希少です。そしてさらにさらに希少なのは、ミント・コンディション!ヴィンテージ・コレクターが言うところの「ミント」とは、中古だけれども「とても状態が良い」ことを指します。
私はそれぞれ別のショップで見かけ、別々に買ったのですが、どちらもかなり気に入って購入しただけに、「さて、何を植えようか?」としばらく悩みました。
でも、そうやって悩みながら植物をあれこれ探す時間も楽しかったし、実際に植えるときには「長持ちしてね」と願うような気持ちで、丁寧に植えることができました。
本当に気に入ったものを吟味して買う、という行為は、いろいろな面で気持ちや暮らしを豊かにしてくれますよね。
黒いポットにはローズマリーを植えました。葉っぱの色や形が好きなので見た目にも満足していますし、グリル料理や煮込みなどに活躍してくれる、実用的なハーブという点も気に入って、ふだんはキッチンの一角に置いています。
白いポットには枝振りのいい五葉松を。松の盆栽はずっと欲しかったので、お気に入りの鉢に植えることができて本当にうれしいです!シンプルでモダンな鉢だから、個性的で伸びやかな松の形をジャマすることなく、互いに引き立てあっている気がします。
冬が長く、それだけ室内にいる時間も長いため、インテリアに対する関心度が圧倒的に高い北欧。だからこそ、植物の姿形を美しく際だたせ、インテリアのジャマにもならないような、シンプルで個性的なポットが愛され続けるのかもしれません。
Richard Lindhに限らず、北欧のデザイナーたちは、素敵なフラワーポットをいろいろと世に送り出しています。気に入ったものを見かけたら、ぜひお手元に置いてみてください。
2019.06.16 18:45 | |
2019.07.26 15:22 | |
住い・生活 |