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日本人の食卓に欠かせない調味料「醤油」。旨みがぎゅっと濃縮され、どんな食材にもマッチするその味わいは、世界にも愛好者が多く、いまや100ヵ国以上で販売されているという人気ぶりです。
しかし私たちにとっては非常に身近な存在だからこそ、じつはあまり知識がないという人も多いのでは?そこで、今回は日本の食文化を代表する「醤油」の魅力にせまります。
醤油のルーツは古代中国の「醤(ジャン)」。日本には「醤(ひしお)」として伝わりました。
醤は、野菜や海藻、魚、肉、穀物など様々な材料から作られますが、日本の醤油は穀醤(こくびしお)が原型です。
当初は醤油と味噌の中間のようなものでしたが、やがて醤油の元といえる溜(たまり)が登場、そして江戸時代には今の「こいくち」にあたるものが作られ、醤油は大きく発展しました。
主な原料は大豆と小麦と塩で、それに麹菌、乳酸菌、酵母などが働きかけて、独特の色や味、香りを作り出しています。この製法は江戸時代からさほど変わっていないそうで、当時から高品質を誇っていたことがわかります。
刺身や寿司には醤油が欠かせません。醤油は魚の味を豊かに引き立てるだけでなく、生臭みを消す作用も持ちます。
魚だけでなく肉や野菜にも合いますし、口に合わない食べ物でも醤油をかけるとおいしく感じられるということも…。まさに「万能調味料」といえるそのおいしさには、人間が味を感じる際の5つの要素がすべて関わっています。
醤油には、これら5つがじつにバランスよく含まれているのです。
微生物が作り出す独特な香りも魅力のひとつ。醤油の香り成分は300種類以上にのぼりますが、特定の香りが目立つことはなく全体が調和しています。加熱すると香ばしさがさらに際立ちますね。
数ある醤油の中でも一般的なのは「こいくち」です。これは「JAS5分類」(コラム参照)による分け方で、ほかに「製法による分類」「等級による分類」があります。
製法の主流は「本醸造」で、全体の8割がこの方法で作られます。
そして等級は、品質による区分のこと。「特級」「上級」「標準」があります。基準となるのは窒素分や色度などで、中でも重要なのは旨さの指標である窒素分の含有量です。
特級より窒素分が多いものには「特選」「超特選」などの表示も認められています。
醤油は時間とともに色が黒っぽくなり、風味も落ちます。開栓前なら直射日光を避けた常温で長期に保存しても腐敗はしませんが、賞味期限以内でもなるべく早めに使いましょう。
開栓後は空気に触れると酸化が進むので、きちんと栓をして、冷暗所に保存します。季節や室内の環境によっては冷蔵庫に入れたほうが無難。
保管してある容器から、卓上用の小型容器に少しずつ移し替えて使うのも、品質の保持につながります。保存法に十分気をつけた上で、1ヵ月くらいで使い切るようにしましょう。
2019.06.10 19:03 | |
2021.07.06 10:58 | |
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