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介護のことを考える…ある日突然!そのときどうする?ケアマネージャー・ケアプラン、認知症、在宅介護のイロハなど

介護のことを考える…ある日突然!そのときどうする?ケアマネージャー・ケアプラン、認知症、在宅介護のイロハなど

親も元気だし、介護はまだまだ先の話し・・・なんて思っていませんか?

実はご両親やご家族が、突発的な病気や怪我で、ある日突然介護が始まるケースが多いのです。そんな突然の介護への事前準備や心の備えのために、確認しておきたいポイントを解説します。

介護の入り口

  1. 介護の入り口「地域包括支援センター」とは?
  2. 元気なうちから「主治医」を決めておく
  3. 「要支援」「要介護」の状態って、どんなこと?
  4. ケアマネジャーの探し方、選び方のポイント
  5. 介護サービス利用者の計画書「ケアプラン」とは

認知症

  1. 認知症の基礎知識①認知症ってどんなこと?
  2. 認知症の基礎知識②認知症の診断と治療
  3. 認知症を理解しよう①それ、もしかして認知症!?
  4. 認知症を理解しよう②認知症の症状とは

在宅介護の基本

  1. 介護サービスは組み合わせて利用する
  2. ヘルパーさんが来てくれる訪問介護(ホームヘルプ)
  3. 施設に通ってサービスを受ける通所介護(デイサービス)
  4. 自宅で医療的ケアをしてもらえる訪問看護

介護の入り口

介護の始まりのサインは、日々の暮らしの中で、

  • 家の中で手すりにつかまらないと転倒がこわい
  • 調理中、鍋をこがすことが頻繁になった
  • お風呂に入るのが面倒になった

などなど。こうなると家族だけでなく介護のプロの手助けが必要です。

介護の入り口「地域包括支援センター」とは?

公的な手助けを受けるためには、まず介護保険の申請が必要です。しかし介護初心者は、何から始めればよいかわかりません。まずは、介護を受ける本人が住む地域の「地域包括支援センター」を訪ねましょう。

地域包括支援センター

地域によって

  • 高齢者なんでも相談センター
  • あんしんセンター

など、独自の名前がついていることも多いので、自治体のホームページで調べたり、市区町村の役所に問い合わせたり、あらかじめ地域包括支援センターの場所をインターネットなどで確認しておきましょう。

  • ↓の「自治体」を介護を受ける人の居住地に変更してGoogle検索できます。

地域包括支援センターは「高齢者のよろず相談所」

地域包括支援センターは、その地域に住む高齢者の生活の中での困り事や心配事など、さまざまな相談に総合的に対応してくれる「高齢者のよろず相談所」です。主任ケアマネジャーや保健師、社会福祉士などがいて、それぞれの専門性を生かして、連携しながら業務にあたります。

業務内容は下記ですが、介護保険の申請や介護保険サービスの内容(ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイなど)、施設についても教えてくれます。

地域包括支援センター

  1. 高齢者の医療・福祉に関する総合的な相談
  2. 介護予防ケアプランの作成、介護予防ケアマネジメント(自立した生活ができるよう支援)
  3. 成年後見制度や虐待防止などの権利擁護業務
  4. 高齢者を介護する家族の支援

「まだまだ介護は先のこと」と思っていても、加齢による体の不具合や急病、事故などによって、突然介護が必要になることがあります。いざというときのためにも、居住地の地域包括支援センターの存在を知っておくといいでしょう。

介護の始まりチェックリスト

  • ひざや股関節、腰が痛く一人で外出できない。家の中で手すりにつかまらないと転倒がこわい
  • 食欲がない、何を食べてもおいしくない。空腹を感じない
  • 衣類のボタンをはめられない。着替えや身だしなみに気を使うのが面倒だ
  • 身体がだるくてお風呂に入りたくない。面倒だ
  • トイレに間に合わなくなり、尿や便を漏らしたりすることがあり、外出するのが怖い
  • 料理の味付けの目分量が違ってきた。また、鍋をこがすことが頻繁になってきた
  • 家のゴミを出す日を忘れてゴミがたまってきた
  • 片付けた場所を忘れて、いつも探し物をしている
  • テレビの好きな番組や好きな音楽、趣味に興味がなくなった

高齢者自身では、自覚できないことも多いので家族や周りの人が確認することも大切です。

元気なうちから「主治医」を決めておく

いざ介護が必要になり介護保険を申請する際に、「主治医意見書」というものが必要になります。この意見書は、傷病や薬に関する項目に加えて「歩行の状態」や「食事の状態」など、その病気によって本人の生活にどう支障をきたしているのかということが書かれ、要介護判定の際に重要な資料となります。日常生活での身体的な自立度や認知症があるかないか、ある場合の症状も記入してもらうので、普段から本人の心身の状況を把握している医師に書いてもらうことが大切です。主治医に正確な意見書を作ってもらうために、本人に認知症の症状がある場合は、家族から医師に伝えておきましょう。

なお、認知症の診断を受けていない場合は、申請する前に専門医を受診してその医師に主治医意見書を依頼したほうがよいでしょう。ちなみに主治医意見書は、要介護認定を受けて介護サービスを利用するために必要なケアプラン作成にも、参考資料となります。

介護保険の申請の流れを知っておきましょう

「要介護認定」を申請する

公的な介護保険サービスを利用するために、本人が住んでいる市区町村の窓口で要介護認定(要支援認定を含む)の申請をします。

申請を受け付けてくれる場所(申請書も同じ場所でもらえます)
市区町村の介護保険担当受付窓口
地域包括支援センター
居宅介護支援事業者
介護保険施設
申請できる人
本人や家族※地域包括支援センター、居宅介護支援事業者、介護保険施設などに申請の代行を依頼することもできます。
必要なもの
要介護・要支援認定申請書、印鑑、介護保険被保険者証、また第2号被保険者の場合は健康保険被保険者証
認定調査(心身の状態の調査)

市区町村の訪問調査員が介護を必要とする本人が住む自宅や施設などを訪問して、心身の状態などの確認のため認定調査を行います。申請してから原則として約1週間以内に行われ、所要時間は30分~1時間程度です。本人との面談や家族からの聞き取りも行います。

訪問調査を受けるポイント

  • 家族が立ち会える日を調整してもらう
  • 本人の普段のありのままを正しく伝える
  • 家族が介護で困難なことや負担になっていることを伝える
  • 本人の前では伝えづらい認知症の症状などは、あらかじめメモをして調査員に渡す
  • 日常的に使っている補装具があれば伝える
主治医意見書の作成

主治医意見書は、申請者本人の心身の状況について市区町村が意見を求めるものです。申請書に記入された本人の主治医に市区町村が依頼します。あらかじめ本人や家族から、医師に「介護認定の申請をするので主治医意見書をお願いしたい」と伝えておくといいでしょう。

主治医意見書の作成

主治医がいない場合は、市区町村の指定した医師の診察が必要になります。

主治医意見書の内容

  • ケガや病気に関する意見
  • 特別な医療
  • 心身の状態に関する意見
  • 生活機能とサービスに関する意見
  • 特記事項
要介護度の認定

認定調査結果と主治医意見書一部を基礎データにした一次判定(コンピュータによる判定)、さらに認定調査結果の特記事項と主治医意見書全体に基づく介護認定審査会による二次判定を経て、要介護度が決定します。

「要支援」「要介護」の状態って、どんなこと?

家族の介護を考えて、初めて知る「要支援」「要介護」という言葉。どんな違いがあるのか戸惑う人も多いでしょう。介護保険で利用できるサービスを受けるときに基準になるのが、要介護認定です。要介護認定では、大きく要支援と要介護にわかれ、要支援は、1と2の2区分。要介護は1から5までの5区分があります。あわせて7つの区分に分かれています。

要支援要支援は「介護予防サービス」を受けられる

要支援は、ある程度の支援が必要とはいえ、自立した生活が送れる人です。将来的に要介護状態になる可能性があるため、支援が必要とされ介護サービスも「介護予防サービス」と呼ばれます。このサービスを受けることで、身体機能の高齢化をゆるやかにすることを目指します。

介護予防サービスを利用する場合は、介護予防ケアプランの作成が必要なので、地域包括支援センターに依頼します。このプランに基づいてサービス事業所と契約し、介護予防サービスを利用します。

要介護要介護は「介護サービス」を受けられる

要介護は、日常生活を送る上で常時介護が必要な人です。自宅で生活を続ける場合は居宅介護サービス、自宅での生活が困難な場合は、施設に入居して介護サービスを受けます。

介護サービスを利用する場合は、ケアプランの作成が必要なので、ケアマネジャー(介護支援専門員)のいる居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)へ依頼します。

施設サービスを受ける場合は、その施設のケアマネジャーがケアプランを作成し、そのケアプランに基づいて施設と契約し、介護サービスを利用することになります。

  • 介護保険で利用できる施設は介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設
  • 有料老人ホームは、介護保険の制度上は在宅サービスに位置付けられますが、施設サービスと同様、施設のケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて介護サービスを受けることができます。

要支援、要介護の区分によって利用できるサービスの範囲や量、負担料金の上限や入所できる施設が変わってきます。要介護認定を受けられるのは、65歳以上の方、もしくは40~64歳までの人で加齢が原因と思われる特定疾病(16種類)にかかっている方です。

要支援1
基本的な日常生活はほぼ自分で行うことができるが、身のまわりの世話に一部介助が必要
支給限度額:50,030円/自己負担額1割の場合:5,003円
要支援2
要支援1の状態よりわずかに低下がみられ、立ち上がりや歩行などがやや不安定
支給限度額:104,730円/自己負担額1割の場合:10,473円
要介護1
みだしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話に介助が必要。立ち上がりや歩行が不安定
支給限度額:166,920円/自己負担額1割の場合:16,692円
要介護2
みだしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話全般、排泄や食事になんらかの介助が必要。立ち上がりや歩行などが自力では困難
支給限度額:196,160円/自己負担額1割の場合:19,616円
要介護3
みだしなみや居室の掃除など身のまわりの世話、排泄が一人でできない。いくつかの問題行動や理解の低下が見られることがある
支給限度額:269,310円/自己負担額1割の場合:26,931円
要介護4
みだしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話、排泄がほとんどできない。歩行などが自分一人でできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある
支給限度額:308,060円/自己負担額1割の場合:30,806円
要介護5
最重度の介護を要する状態。身のまわりの世話、排泄、食事がほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある
支給限度額:360,650円/自己負担額1割の場合:36,065円
  • 1単位=10円で算出した概算料金
  • 一定以上所得者(被保険者本人の合計所得が160万円以上で、「同一世帯の第1号被保険者の年金収入」+「その他の合計所得金額」が、単身世帯で280万円以上、2人以上世帯で346万円以上)の場合は2割負担

要介護認定の有効期間は、新規・変更申請の場合は原則6ヶ月(状態に応じて3~12ヶ月)。また、更新の場合は原則12ヶ月(状態に応じて3~24ヶ月)です。有効期間内であっても、心身の状態や家庭環境が変わったときなどには区分の変更申請ができるので、その場合は担当のケアマネジャーに相談します。

  • 平成26年(2014年)介護保険法に基づく

ケアマネジャーの探し方、選び方のポイント

要介護のケアプランは、ケアマネジャーが作成

介護保険のサービスを利用する場合は、受ける介護サービスの種類や内容、担当者などを定めた「ケアプラン」の作成が必要になります。

要介護1以上の介護サービス計画書は、ケアマネジャー(介護支援専門員)のいる居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)へ依頼します。「要支援1、2」の介護予防サービス計画書は、地域包括支援センターに相談します。(一般の居宅介護支援事業者に委託されることもあります。)

信頼の置けるケアマネジャーを選ぶ

ケアマネジャーとは、介護サービスを受ける本人や家族の要望、置かれている状況を踏まえながら、必要な介護サービスなどの支援を提案し、ケアプランを作成する専門職です。

ケアマネジャーの仕事

ケアマネジメント

  • 面接、調査によるニーズの把握
  • アセスメント(課題分析)
  • ケアプラン作成
  • 介護サービス担当者会議とサービスの調整
  • 介護サービスの実施
  • モニタリング(実施状況の観察)
  • ケアプランの変更や調整など

給付管理

  • 支援限度基準額の上限管理
  • 国民健康保険団体連合会に提出する「給付管理票」の作成

サポート業務

  • 介護サービスに対する苦情などの受付、事業者への取次ぎ
  • 施設へ入所する際の連絡や調整

上記のように、ケアプラン作成だけでなく、サービスが開始されてからも定期的に利用者宅を訪問し、かかりつけ医や介護事業所と情報交換しながら、提供されているサービスが適切かどうかを見極め、ケアプランの見直しを随時提案していきます。

つまり、ケアマネジャーは介護保険サービスを利用するための「司令塔」。長いお付き合いになるので、本人や家族にとって信頼のできるケアマネジャーを選ぶことが大切です。

ケアマネジャーの選び方

ケアマネジャーは、市区町村が作成している居宅介護支援事業者のリストで概ね探すことになりますが、介護保険を利用している友人、知人、かかりつけ医などから情報を集めるのもよいでしょう。実際に会ったときの第一印象は大切です。違和感や不安がある場合には、他の居宅介護支援事業者にもあたってみることをおすすめします。

ケアマネジャー

ケアマネジャーを選ぶポイント

  • これまでの経歴・保有資格(看護師、介護福祉士など)
  • ケアマネジャーとしての経験年数
  • 介護、福祉、医療情報など、地域の情報や専門知識が豊富か
  • 公平な立場でアドバイスしてくれるか
  • 利用者や家族の話をよく聞いてくれるか
  • 介護者の事情について、どれくらい配慮してくれるか
  • 専門的なことでもわかりやすく説明してくれるか
  • 要望に迅速に対応してくれるか

ケアマネジャーを決めて契約し、ケアプランの作成を依頼します。しかし、実際にお付き合いをしてみると、なかなか連絡が取れない、本人や家族の要望を受け入れないなどの問題が出てくることもあります。その場合はケアマネジャーを替えることができますので、利用している居宅介護支援事業者の責任者に相談しましょう。

介護サービス利用者の計画書「ケアプラン」とは

ケアプランは、要介護認定を受けて、介護サービスを利用する際に必要になります。作成・運用は、介護保険サービスの専門家であるケアマネジャーです。

ケアプランの基本は「自立支援」です。本人と家族の状況や要望に基づいて「これからどのような生活を送りたいか」などの目標を設定し、その目標に向けて利用するサービスの種類や頻度などの介護サービス利用計画書となります。

ケアプラン作成の流れ

ケアマネジャーによるアセスメント(課題分析)を受ける

ケアマネジャーは介護サービスを利用する本人の健康状態、生活環境、家庭環境を把握した上で、どのような介護サービスが必要なのかを評価・分析します。また、本人の「できること」と「できないこと」、要望を聞いて「今後したいこと」「できるようにしたいこと」などの具体的な目標を立てます。

ケアマネジャーに伝えておきたいポイント

大切なのは、本人だけでなく家族が積極的に関わることです。本人の普段の様子や家族からの要望、介護体制についてなど、また介護に使える金額についてもしっかり伝えましょう。

ケアマネジャーに伝えておきたいポイント

  • どういう生活を送りたいか
  • 生活を維持する上で、なにが障害になっているか
  • 家族(介護者)が困っていることはなにか
  • 本人の人柄、人生の歩み
  • 本人の好きなこと、得意なこと、苦手なこと
ケアプランの原案が作成され、サービス担当者会議が行われる

先の結果からケアプランの原案が作成され、再度本人、介護者の意向を確認します。その後、ケアマネジャー、サービス提供事業所の担当者を集めてサービス担当者会議を開催し、情報の共有とサービス導入の目的を互いに確認します。

正式なケアプランの確定

サービス担当者会議後、ケアマネジャーから本人と家族へケアプラン原案の最終確認がされ、同意してはじめて正式なケアプランが確定されたことになります。

ケアマネジメントサービスは、すべて介護保険の給付対象となるので、ケアプラン作成も自己負担は一切ありません。また、利用者や家族の状態や状況の変化に応じて、ケアプランの変更が可能です。

ケアマネジャーは月に1回以上、利用者や家族の状況や目標達成状況、満足度などを評価して、必要であればケアプランの変更が検討されます。

認知症

日本は今まさに、超高齢社会の入り口にさしかかっています。2025年には、日本の75歳以上の後期高齢者人口は4人に1人、認知症高齢者は700万人を突破するといわれています。これは65歳以上の5人に1人という計算になり、自分や身近な人が認知症になる可能性は誰にでもあります。

認知症の基礎知識①認知症ってどんなこと?

認知症は痴呆とよばれていた時代が長かったため「何もできなくなる」「自分自身がわからなくなる」など誤解されていることが多く、その人にあった適切なケアがあれば、生涯「その人らしく」幸せな生活を送ることができる病気であることはあまり知られていません。今、まさに介護をしている人だけでなく、身の周りに認知症がある人がいない人も認知症に理解を深め、社会全体で認知症がある人や介護をしている人への支援の方法を考え、実践していくことが求められています。

認知症の定義:主な認知症は4タイプ

認知症は病名ではありません。いろいろな原因で脳の細胞が損傷を受けたり、働きが悪くなったりしたために認知機能が低下し「日常生活に支障をきたすようになった状態」をいいます。

たとえば「ひどい物忘れ(記憶障害)」で同じものばかりいくつも買ってきてしまう、「自分が今いる場所がわからなくなり(見当識障害)」、迷子になるなど、さまざまな症状が現れますが、それらを総称して「認知症」と呼んでいます。

認知症を起こす原因となる病気は70種類以上ありますが、日本では「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」「前頭側頭型認知症」が4大認知症といわれ、全体の8割を占めています。

アルツハイマー型認知症
患者数は最も多く、認知症患者の約6割を占めます。脳に「βアミロイド」というたんぱく質が蓄積されたために神経細胞の働きが衰え、脳が委縮し、特に海馬という記憶をコントロールする部分のダメージが大きいのが特徴です。
アルツハイマー型認知症の代表的な症状が「物忘れ」です。体験した記憶そのものが欠落してしまうため、後から指摘されても思い出すことができません。病気が進行するにつれ、時間や場所がわかりにくくなる、着替えができない、ものの名前がわからないなどの症状があらわれます。
レビー小体型認知症
レビー小体という特殊な物質が脳の大脳皮質に広がり、神経細胞の働きを阻害して起こります。視覚を司る後頭葉の血流が低下して、実際にはないものが見える「幻視」があらわれます。また、手の震えや小幅歩行、身体が固くなるなどパーキンソン病に似た運動障害(パーキンソン症状)の症状が特徴的です。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血によって、その部分の脳の働きが低下したために起こります。脳梗塞や脳出血が脳のどの部分に起こったかによって症状が異なります。アルツハイマー型認知症が徐々に進行するのに対し、よくなったり悪くなったりを繰り返し進行します。小さな脳梗塞が何度も繰り返すうちに段階的に症状が悪化していきます。
脳血管障害の危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動などを適切に治療・管理することで、進行を止めたり改善したりすることも不可能ではありません。
前頭側頭型認知症
脳の前頭葉、側頭葉の委縮によって起こる認知症です。理性や意欲など、その人らしさを司る前頭葉が損傷を受けることから、性格や人格に変化が起こり、反社会的行動が目立つなどの症状があらわれます。50代~60代の若年期に発症することが多いのも特徴です。

認知症の早期発見・早期診断のすすめ早期発見・早期診断のすすめ

認知症は正しい診断を受け、適切な対応をすれば、進行を遅らせることができます。認知症の診断を受けても、治療をすることでこれまでどおりの社会生活を続けることができる場合もあります。

また、認知症の症状とよく似た他の疾患の可能性もあります。どちらにしても、早期発見できればよいにこしたことはありません。

最近では精神科病院や総合病院、診療所などに「もの忘れ外来」を置くところが増えています。「あれ?なんか変」と思うことがあれば、早めに医師に相談しましょう。

認知症の基礎知識②認知症の診断と治療

認知症は、高齢化社会において避けては通れない重要な課題です。アルツハイマー病をはじめとする認知症の原因疾患に対する原因・治療・予防の医学研究が進められていますが、残念ながらその根本の原因はわかっておらず、完全治癒することは現在のところできません。

認知症の診断と治療

「家族が認知症かもしれない」と思ったら、まずは普段から本人の体調や生活をよくしっている、かかりつけ医に相談しましょう。かかりつけ医が認知症の専門医でなくても、そうした専門医を紹介してくれます。かかりつけ医がいない場合は、地域包括支援センターに相談しましょう。

認知症の医療は、他の疾患と同様に「診断」と「治療」の2段階からなります。

認知症検査と診断の流れ

診断は、問診、診察、検査を経て総合的に判定されます。このうち、重要なのは問診です。

専門医は認知障害の状況、生活状況、既往歴、服薬状況などを聞きますが、それ以外にも本人が入室する動作や歩き方、挨拶のしかたなどを細かく観察します。家族は、いつごろ、どんな状況でどんな症状が現れたかなど、具体的な情報をメモしておくと問診がスムーズに進みます。

また、本人は問診では普段よりしっかりとした受け答えができることも多々あります。普段の生活の様子をきちんと専門医に伝えることが大切です。

診察では、体温、血圧、脈拍、呼吸などの検査や、四肢の運動や感覚障害など神経学的な診察などを行います。

頭部のCTやMRIの画像検査では、脳の委縮や脳梗塞・脳出血の有無などを調べます。どのタイプの認知症かを診断するのがSPECT(スペクト)による「機能画像検査」で、脳の血流の状態を調べることで認知症の原因疾患を診断します。また、認知症簡易評価スケール「長谷川式認知症スケール」が認知症の診断に広く利用されており、認知機能の低下を診断する際の参考とされています。

長谷川式認知症スケール」ではこんな質問をされます

  1. 歳はいくつですか?
  2. 今日は何年の何月何日ですか?何曜日ですか?
  3. 私たちが今いるところはどこですか?
  4. これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとの設問でまた聞きますのでよく覚えておいてください。
  5. 100から7を順番に引いてください。
  6. これから言う数字を逆から言ってください。
  7. 先ほど覚えてもらった言葉(4.の3つの言葉)をもう一度言ってみてください。
  8. これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言って下さい。
  9. 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。

薬による治療と、薬を使わない行動療法

薬による治療

認知症の治療方法は基本的には薬による治療で、原因疾患そのものの治癒ではなく、進行を遅らせることを目的とした「抗認知症薬」が使われています。

アルツハイマー型認知症の「抗認知症薬」には、ドネペジル(製品名=アリセプト)、ガランタミン(同=レミニール)、リバスチグミン(同=リバスタッチ、イクセロン)、メマンチン(同=メマリー)の4つが使われています。処方された薬がどんな薬なのか、家族は医療者にきちんと確認しましょう。

高齢者の場合、認知症そのものに対する薬のほかに、降圧剤、糖尿病薬、脂質異常症薬、向精神薬など複数服薬することが多く、ケースによっては副作用が無視できないものもあります。医師と相談しながら、向精神薬などは特に最小限度から始め、状態を観察しながら処方を受けるなどの注意が必要です。

抗認知症薬に期待できる効果は100%とはいきません。一定期間を過ぎると症状に応じて処方された量を服用しても病気が進行してしまうこともあります。

薬を使わない行動療法

薬を使わない「行動療法」には医学的な立証は難しくても脳を活性化させる効果があり、認知症の進行を遅らせ、周辺症状を改善させるのではと考えられています。

本人がよく聴いていた音楽を流す「音楽療法」、ペットによる「アニマルセラピー」、絵画や詩、俳句などに取り組む「芸術療法」など、自宅でできる行動療法はたくさんあります。

本人が好むもの、楽しめるものを選ぶのがポイントです。

認知症を理解しよう①それ、もしかして認知症!?

  • うちの親は、まだまだ平気
  • たまに変なこと言うけど、歳のせいだ

こんな風に思っている人、多いのではないでしょうか?

認知症はある日突然始まるものではなく、徐々に進行するため、周囲の人も気がつかずにどんどん進行してしまうことがあります。また、認知症に対する無意識の不安から、「うちの親に限って」と、ついつい目をそむけてしまいがちです。

しかし、認知症介護の経験者はみな口をそろえて、「思えばあの頃から始まっていたんだな」と振り返ります。

認知症は症状がある程度進んでしまうと、本人も、また介護する家族にとっても大きな負担となります。初期の段階できちんと診断を受け、適切な対応をすることで、これまで通りの生活をより長く続けることができます。そのためには、認知症の始まりのサインを見逃さないことが重要です。

「単なるもの忘れ」?それとも「認知症」?

歳をとると、人の名前が思い出せない、ものをどこにしまったのか忘れてしまうなどは、誰しも多かれ少なかれあるものです。加齢による「単なるもの忘れ」と「認知症」の違いは、「忘れた」という自覚がないことです。

例えば、昨日の食事のメニューは思い出せないが、食べたことは覚えているというのがもの忘れの状態。認知症の場合、食事をしたこと自体を忘れてしまいます。本人は食べた自覚がないため、「ご飯を食べさせてもらえない」「食事はまだか」と訴えるなどの困りごとが出てきます。

このように認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が損傷を受けたり、働きが悪くなったりしたために認知機能が低下し、「日常生活に支障をきたすようになった状態」をいいます。

見逃さないで!認知症の始まりのサイン

「あれ、なんか変?」と思ったら、もしかしたら認知症の始まりかもしれません。認知症がある人の場合、たまに会う家族の前ではしっかりしていることもあるので、とかく見過ごしがちですが、少しでもいつもと違う、何か変わった…と思うことがあったら要注意。歳のせいだからとやりすごさずに、かかりつけ医や地域包括支援センターなどに相談しましょう。

もしかしたら認知症かも!? チェックリスト

こんな「あれ!? なんか変」は、ありませんか?一つでも当てはまったら、早めにかかりつけ医や地域包括支援センターに相談しましょう。

  • 同じ話や質問を繰り返す
  • 鍋を火にかけっぱなしにする、蛇口から水を出しっぱなしにする
  • 同じものばかり買ってくる(冷蔵庫の中に同じものがいっぱい入っている)
  • 病院などの予約日を間違える、忘れることがある
  • ゴミ出しの曜日がわからなくなった
  • マンションや団地のフロアを間違える
  • たいした用事でもないのに、早朝、深夜などいつもと違う時間に電話をかけてくる
  • しまい忘れ、置き忘れが増え、いつも探し物をしている
  • 料理などの家事、運転、計算のミスが目立つようになった
  • あまり料理をしなくなった
  • 財布に小銭ばかりたまっている
  • ゴミがたまっている
  • 手紙や予定表など、文字を書かなくなった
  • 目の前にある物の名前が思い出せない
  • おしゃれをしなくなった
  • 季節に合わない服装をしている
  • 辛い味、しょっぱい味に鈍感になり味付けがおかしくなる
  • 見慣れない商品を大量に購入している

認知症を理解しよう②認知症の症状とは

認知症とひとくちに言っても、その症状は人によって様々。むしろ、全く同じ症状の人はいないと言ったほうが良いかもしれません。なぜなら、認知症の症状には、もともと本人が持ち合わせている性格や、生まれ育った環境、趣味や仕事、友人や家族など人間関係、生活習慣など、これまで歩んできた人生が大きく関係しているからです。

複数の症状が現れたり、日によって変動したりするので対応がますます難しくなりますが、ある程度の分類を頭に入れておくと、理解の手助けになります。

認知症として現れる様々な症状は「中核症状」と「周辺症状」の2つに大別されます。

脳のダメージが直接原因となる「中核症状」

「中核症状」とは、認知症の直接の原因である「脳の神経細胞へのダメージ」が原因で現れる認知機能に関わる障害のことで、すべての認知症患者に現れます。

記憶障害
単なるもの忘れの場合、記憶の一部が抜け落ちているだけなのでヒントがあれば思い出せますが、認知症による記憶障害の場合、記憶から体験そのものがすっぽりと抜け落ちているため、体験したこと自体を忘れ、ヒントがあっても思い出せなくなります。
見当識障害
日時、場所、方向、周囲の人物、状況などが正しく認識できなくなります。今がいつで、自分がどこにいるのかわからなくなったり、知っているはずの人を見てもどんな人だったか思い出せなくなったりします。
理解・判断力の障害
ものの共通点や違いがわからない、良い・悪いの判断ができない、といった症状が現れます。具体的には、大根とキャベツの違いがわからない、冷蔵庫に洗剤をしまう、といった行動です。真夏にセーターを着るなど季節に合った服装ができない、ちぐはぐな格好になる、などもみられます。
実行機能障害
ものごとの手順がわからなくなる障害です。これまで何の問題もなくできていた料理や掃除などができなくなります。家電やATMが使えなくなるといったことも起こります。

二次的に起こる「周辺症状」

中核症状が原因となって引き起こされる二次的な症状で、「なぜ、こんなことをするの!?」と家族や周囲の人が驚いたり、困惑したりするのが「周辺症状」です。行動・心理症状とも呼ばれます。

不安・抑うつ
これまでできたことができなくなっていく、何をやってもうまくいかないといったことを、本人は誰よりも不安や焦りを感じています。そうしたことから、気分が落ち込み、何もする気になれない状態になることがあります。
徘徊(ひとり歩き)
自分のいる場所や時間がわからなくなっているために元の場所に戻ってこられなくなる状態です。徘徊には必ず「理由」があります。
物盗られ妄想
物をしまった行為自体を忘れてしまい、「誰かが盗んだのではないか?」と家族や介護者に疑いの目を向けるようになります。
幻視・幻聴
部屋に知らない人がいる、子どもがいる、蛇がはっているなどの幻視や、いない人の声が聞こえるなどの幻聴が、とてもリアルに感じられるといいます。特にレビー小体型認知症の場合に多く見られます。
暴言・暴力
介護に対する不満や不安・苛立ちが募ると、それまでは理性で抑えていたことも、暴力・暴言となって現れることがあります。

接し方次第で、症状を穏やかに

特に周辺症状は、介護者にとっては大きな負担やストレスの要因となります。しかし、その一方で接し方次第で症状が穏やかになるともいわれています。それは、周辺症状がその人の個性や人生に大きく関連しているからです。

知っておきたい 認知症のある人との接し方
本人を尊重する
できごとの中身の記憶はなくなっても、感情やプライドはなくなっていません。できないことを責めたくなったときには、声を出す前に一呼吸おいてみましょう。
なじみの環境を用意する
認知症のある人は、新しい環境への対応が苦手です。できるだけ、なじみの場所、なじみの人間関係を用意しましょう。
行動には意味があることを理解する
他の人には理解しがたい行動にも、背景には必ず意味があります。無理にやめさせようとしたり否定したりせず、何か他の手を試してみましょう。

認知症と上手に向き合うためには、認知症のことを少しでもよく知ることです。そして、何より大切なことは、決して一人で背負わない、一人で悩まないことです。周囲に助けを求めることをためらわずに、ケアマネジャーなど専門家に相談したり、介護経験者の話を聞いたりしましょう。

在宅介護の基本

介護保険は、40歳以上の国民全員が被保険者として加入し、介護が必要になったときに費用の1割(資産と収入によっては2割または3割)を負担することで介護サービスを受けられる制度です。サービスを利用するには、市区町村窓口か地域包括支援センターで申請を行い、要介護認定を受ける必要があります。

介護サービスは組み合わせて利用する

介護保険を申請すると、介護サービスがどの程度必要なのか調査が行われ、申請から原則30日以内に利用者に結果が通知されます。

認定結果は

  • 非該当(自立)
  • 要支援1・2
  • 要介護1~5

のいずれかで、「要介護」の場合は介護保険による通常の介護サービス、「要支援」の場合は市区町村による新総合事業の介護予防サービスが受けられます。

「非該当」の場合、介護保険は使えませんが、地域包括支援センターで行っている介護予防運動などは誰でも受けることができます。

「要介護」と認定された人が介護サービスを利用するには、介護サービスの利用計画書となる「ケアプラン」が必要になります。これはどんな介護サービスをどのくらい使うのかを決めるもので、ケアマネジャーが提案してくれます。「要支援」の場合は、地域包括支援センターに相談してケアプランを作成するのが一般的です。

介護保険で利用できる介護サービスは多岐にわたりますが、初めての介護では、サービスの選び方や使い方などわからない人がほとんどだと思います。在宅で介護をする場合は、本人に合ったサービスは何かを考えて、複数のサービスを組み合わせて使うのが一般的です。利用者本人や家族だけで考えてケアプランを作成することはとても困難です。介護にかけられる時間やお金、本人や家族の希望のほか、何が不安なのかをケアマネジャーに伝えて、一緒にケアプランを考えましょう。

在宅での介護生活を支える4つの介護保険サービス

在宅での介護生活を支える介護保険サービスは主に「環境を整備する」「外から訪問してもらう」「外に通ってサービスを受ける」「宿泊する」の4つにわけられます。これらを組み合わせて、サービスを活用していくことになります。

在宅で使える介護サービス一覧

「環境」を整備する

福祉用具レンタル
車椅子、スロープ、特殊寝台など対象13品目から必要な福祉用具をレンタルできる。品目により要支援1・2、要介護1の人は利用できないものもある。
住宅改修
手すりの取り付け、引き戸などへの扉の取り換え、段差解消など、自宅で安心して暮らすための改修費用が支給されるサービス。1つの住宅につき20万円が限度。

外から「訪問」してもらう

訪問介護
ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などのケアを行う「身体介護」と、掃除・洗濯・買い物・調理などの「生活援助」を行う。自宅での自立した日常生活が送れるように支援するサービス。
訪問看護
看護師などが利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいて健康チェック、療養上の世話や医療的処置を行う。
訪問入浴介護
看護職員・介護職員が利用者の自宅を訪問し、簡易浴槽を持ち込んで入浴・洗髪を行うサービス。
訪問リハビリテーション
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいて日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行う。

外に「通って」サービスを受ける

デイサービス(通所介護)
食事や入浴などの日常生活の支援を日帰りで受けられるサービス。同年代との交流やレクリエーションに参加できる。利用者の自宅から施設までの送迎も行う。
デイケア(通所リハビリテーション)
食事や入浴などの日常生活の支援や、身体機能向上・維持のためのリハビリテーションを日帰りで受けられるサービス。利用者の自宅から施設までの送迎も行う。

「宿泊」する

ショートステイ(短期入所生活介護)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などに短期間(数日~最長で30日まで)入所し、入浴や食事などの日常生活の支援を受けることができる。

ヘルパーさんが来てくれる訪問介護(ホームヘルプ)

「在宅介護といえばホームヘルパーさん」というイメージをお持ちの方も多いと思います。ホームヘルパーが自宅にやってくる「訪問介護」は、在宅での介護を支える中心的な介護サービスで、一人暮らしや、高齢者世帯での介護では欠かせないサービスです。「身体介護」と「生活援助」が主なサービス内容です。

身体介護」とは、介護者(ホームヘルパー)が直接、利用者本人の体に触れて、日常生活のさまざまな動作を手助けするものです。食事や排泄の介助、体を拭く、入浴や洗髪を手伝う、起床や就寝の介助、服薬介助、体位変換などがあります。ただし、医療行為や療養に相当するケアは頼めません。

生活援助」とは、身体介護以外の介護を行うもので、食事の準備や後片付け、居室やトイレの掃除、洗濯、日常的なゴミ出し、日用品の買物、布団干しなどを代行します。“利用者本人の生活”を援助するためのサービスなので、たとえば同居家族の食事の準備など本人以外への援助は頼めません。また、〝日常的生活上の援助〟という位置づけなので、やらなくても日常生活に支障がないことは頼むことができません。

このように、生活援助においてはホームヘルパーに頼めることと、頼めないことがあるので注意が必要です。

ホームヘルパーに頼めること・頼めないこと

ヘルパーとは、手伝う人という文字通り、家事や介護を手伝ってくれますが、あくまでも「利用者本人の日常生活上の支援」という役割なので、本人以外の家族の部屋の掃除や食事の支度などは頼むことはできません。

家族と同居している場合、家族が支援できるものとして、生活援助自体を頼めないこともあります。

また「日常生活上の」というのがポイントで、食料や洗剤などの日用品の買物は頼めても、おしゃれ着や本・CDなど日用品以外の買物は頼めない、日常的なゴミ出しは頼めても粗大ごみは頼めないなど、一見分かりづらい決まりがあります。

ホームヘルパーに頼めないこと(例)

本人以外への援助

  • 家族の食事の準備・後片付け
  • 家族の部屋の掃除
  • 家族の分の洗濯

やらなくても日常生活に支障がないこと

  • 日用品以外の買物
  • 粗大ごみを出す
  • 犬の散歩
  • 庭の掃除・草むしり
  • 理髪店・美容室への付き添い
  • 電球の取替え

日常の家事の範囲を超えること

  • 大掃除(窓拭き、サッシ、網戸、換気扇)
  • 家具や家電の移動

ホームヘルパーに頼めないことで生活しにくいことがある場合には、ケアマネジャーに相談してみましょう。多くの自治体や社会福祉協議会では介護保険外のサービスを提供しています。また、民間のサービスも多数あります。困りごとの解決には、ケアマネジャーに相談しながら、さまざまなサービスをうまく組み合わせて活用していくことが大切です。

施設に通ってサービスを受ける通所介護(デイサービス)

高齢者のお宅の前に停まったデイサービス事業者のワゴン車に、高齢者が乗り降りするのをスタッフがお手伝いしている様子を見かけたことはありませんか?介護サービスの中でも多くの高齢者が利用しているのが「通所介護」です。「デイサービス」という通称のほうが一般的でしょう。

自宅にこもりがちなら「デイサービス」を

デイサービスとは、自宅から施設に通い、食事や入浴、排泄の介護を受けながら、健康管理と日常生活の動作の訓練、レクリエーションなどで1日を過ごすサービスです。要介護1以上の人が利用できます。

要支援1・2の人は、市区町村が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業」のサービスである「介護予防通所介護」を利用できます。

自宅にこもりがちなら「デイサービス」を

認知症が進むと体力や筋力が低下し、家の中にいる時間が長くなります。他人と関係を持たずに孤立した状態でいると認知症が進む、うつ状態になるなどの危険性があります。また、認知症高齢者は睡眠が浅くなるため昼間はうとうとと眠ったりぼんやりしたりして過ごし、夜は眠れずに興奮状態になる“昼夜逆転”の生活になりがちで、介護している家族にとっては大きな負担となり、疲労の蓄積にもつながります。このような場合には、デイサービスの利用がおすすめです。

家に閉じこもりがちの生活から、サービスを利用することで外出したり人と触れ合ったりする機会が増え、生活にメリハリができます。昼間活動的に過ごすことで、夜は穏やかに休めるようになることもあります。また、本人がデイサービスに出かけている間、家族はいっとき介護から解放され、自分だけの時間を持ち、心も身体もリフレッシュすることができます。

「デイサービス」での過ごし方

利用時間は通常規模の事業所の場合は、3時間以上5時間未満、5時間以上7時間未満、7時間以上9時間未満となります。送迎は無料で、朝自宅にワゴン車で迎えに来るところから始まります。午前中は健康チェックや入浴、昼食のあと、午後はレクリエーションをして過ごすことが多いです。夕方、自宅まで送り届けて終了となります。

デイサービスのお出かけデー

デイサービスで行われるレクリエーションは、身体を動かす体操、パズルや脳トレ、ゲームなどが長い間一般的でした。しかし、「いかにも施設」といったレクリエーションを好まない人も多く、最近では書道や陶芸、麻雀など趣向をこらしたさまざまな趣味のプログラムが用意されており、回転寿司やデパート等に外出する「おでかけデイ」に積極的に取り組むなど、デイサービスの特色もひろがりを見せています。利用者が料理を作る「お料理デイ」をサービスの主体にする事業者もあります。

「お泊りデイ」は、デイサービスを利用した後、そのまま宿泊することです。宿泊費は介護保険の対象ではないため全額自己負担になりますが、ショートステイの代わりに利用するなど利用者が増えています。介護する家族の心身の負担を減らすメリットがありますが、特別養護老人ホームなどの大型施設や、ショートステイ専門の施設を利用するショートステイのように個室が割り当てられたり、プライバシーが確保されたりすることはあまり期待できません。

「デイサービス」施設選びのポイント

1日を過ごす施設なので、安全で快適な場所であるだけでなく、「合う・合わない」の視点はとても重要です。知り合いが利用しているとなじみやすいですが、そうでない場合は体験利用をして様子をみてみることをおすすめします。認知症の人は、認知症対応型のデイサービスが良いでしょう。

施設によりサービスの内容はさまざまです。選ぶ際に重視するのは、デイサービスを利用する本人の主たる目的は何か、です。リハビリをしたいのか、食事がとりたいのか、お風呂に入れてもらいたいのか、人との交わりが欲しいのかなど、いちばんしたいことは何なのかをケアマネジャーに伝え、各事業所で提供されるサービスの中から優先順位を決めていきましょう。

また、家族の目的も同様です。介護疲れがたまっているためリフレッシュしたいのか、仕事に出ている間安心していたいのかなど、解決したい困りごとを整理してケアマネジャーに伝え、一緒に施設選びをしていくと良いでしょう。

自宅で医療的ケアをしてもらえる訪問看護

自宅で医療的ケアをしてもらえる訪問看護

病気や怪我などで入院しても、高度な医療を必要とする急性期の治療を終えると長くは病院に滞在することはできません。

脳梗塞や骨折など手術を必要とするような、緊急性が高く、重症な病気や怪我の患者を中心に24時間体制で治療を行う病院を急性期病院といいますが、急性期病院の場合、平均在院日数は約18日。

急性期を脱しても、経過観察やリハビリが必要な場合は「地域包括ケア病棟」や「回復期リハビリテーション病棟」へ転院となりますが、疾病や症状によって在院日数は60日から180日と決められており、いずれ退院しなければなりません。

日常的に医療的ケアが必要だが、家での生活はできるだろうか、一人暮らしだが大丈夫だろうか、そんな不安があるときに頼りになるのが訪問看護です。

訪問看護とは、看護師等のケアスタッフが自宅に訪問し、健康チェック、療養上の世話または必要な診療の補助を行うサービスです。主治医の指示のもと、病院と同じような医療処置も行います。自宅で最期を迎えたいという希望に沿った看護も行います。

訪問看護では、主に次のようなサービスが受けられます。

  • 病状・障害の観察と判断、健康管理
  • 食事・清潔・排せつのケア、水分・栄養管理
  • リハビリ、日常生活動作の訓練
  • 医療的なケア(傷や褥瘡〔床ずれ〕の処置、点滴や医療機器等の管理など)
  • 薬の飲み方と管理
  • 療養生活、看護・介護方法に関する相談・助言
  • 家族の悩みの相談
  • 終末期ケア
  • 苦痛の緩和
  • かかりつけの医師との連絡と調整

訪問看護サービスを受けるには

訪問看護サービスを受けるには

訪問看護サービスを受けるには、医師からの「訪問看護指示書」が必要になります。まずはケアマネジャーに相談しましょう。ケアマネジャーが医師に連絡、依頼して、訪問看護サービスをケアプランに組み込み、その後、訪問看護ステーション等と契約してサービス開始となります。

訪問看護は介護保険でも医療保険でも利用することができます。

介護保険の訪問介護を利用する場合は、ケアプランに沿って1回の訪問時間は、20分、30分、1時間、1時間半の4区分があります。

医療保険の場合は、通常週3回までで、1回の訪問時間は30分から1時間半程度です。本人や家族の希望に応じて訪問する回数や時間が決まりますが、病気や状態によっては毎日利用することもできます。

かかった費用の自己負担は、保険の種類や所得・年齢によって異なりますが、原則1割から3割が自己負担です。

費用の自己負担例:週1回(1時間/回)の訪問看護(加算料金なし)の場合

  • 介護保険(1割負担):約815円/回
  • 医療保険(3割負担):約3,000円/日
2019.05.26 15:04
老後・介護

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